ウクライナに自由を

ウクライナに自由を

2022-03-27

ゼレンスキー大統領の演説

日本の国会で、ウクライナのゼンレンスキー大統領のオンラインによる演説が行われました。外国元首による演説は日本の国会では初めてのことだそうですが、戦争渦中にある国の元首が多数の国々の国会や議会で、支援の要請や相手国=ロシアへの制裁強化を訴えることそのものが、異例中の異例だろうと思われます。

日本での大統領の演説でもっとも印象に残ったのは、両国は距離は遠く離れているが、自由を求める価値観は同じだと強調されたことと、ウクライナ人の自由に生きる権利がロシアによって破壊されていると訴えられたことですね。

ウクライナ人の自由に生きる権利を死守する、この思いこそが、ロシアの残虐非道な攻撃にも屈せず、徹底抗戦を続けるウクライナの人々を支える最強の力の源だろうと思います。

さらに加えてゼレンスキー大統領の演説は、なぜ日本でもロシアへの非難とウクライナへの支援の声が急激に高まったのか、その根源的な理由についても鮮明にしてくれました。

我々が感じるロシアへの怒りは、第一にはロシアによる残虐非道な、ウクライナ人殲滅を狙った無差別のジェノサイド攻撃への怒りに発してしますが、その根底には、ロシアによって自由を奪われたくないというウクライナの人々の強い思いに、無意識のうちに一体化していたからだということに気づかされたということです。少なくともわたしは大統領の演説を聞いて、そのことを初めて自覚させられました。

ウクライナとロシアとの関係は歴史的、地政学的にも非常に複雑で、簡単には白黒はつけがたいともいわれていますし、わたしも当初はそうした見解にも耳を傾けていましたが、自由を選ぶか、独裁的な専制体制に屈するかの選択を迫られた結果の抵抗だと考えると、歴史的にどうであれ、地政学的にどうであれ、ロシアのジェノサイド攻撃には、寸毫の余地なく正当性は認められません。

というよりもロシアは、独裁者の地位を守るためには、一方的に他国を侵略し、平然とジェノサイドを行う国であることを世界環視の中で自ら証明したわけです。こんなロシアと喜んで手を結ぼうという国は、同類国か現実的な利害関係を最優先した一部の国以外にはないのは当然です。

もちろん自由主義も欠陥だらけ。その盟主たるアメリカもロシアに負けず劣らずえげつないことも事実です。しかし、欠陥だらけとはいえ、自由主義国では基本的に自由が保証されています。

アメリカはもとより自由主義国では、自由な社会体制によって社会の富も発展も生み出されてきました。もちろん自由主義体制はバラ色の社会を生み出したのではなく、人の生存すら危うくするような貧富の格差を不可避のものとして生み出しています。

しかし我々は、それでもなお自由を選択します。

中国やロシアのような専制的独裁国家も、社会の富は一部の特権階級に独占されていますが、仮にその独占された富の一部が社会に還元されるような奇跡が起こったとしても、それでもやはり、専制的な独裁体制は絶対的に拒否したい。

おそらくウクライナの人々もこの点では我々と思いは一つ、ゼレンスキー大統領の演説からはその思いがひしひしと伝わってきました。

ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まって以来、世界中でロシア非難の声が湧き上がっていますが、言葉だけでは、ロシアのような国が相手では蚊が刺すほどの効果もないことに、わたしは言葉を発することに空しさを感じていました。

しかし国民の先頭に立ち、ロシアに屈せぬ姿勢を貫きつつ、世界各国の議会で演説を重ね、日本の国会でも演説をされた大統領からは、言葉の持つ力を再確認させられました。

ウクライナからの教訓

ゼレンスキー大統領の演説は、言葉を使ったミサイル弾とも評すべき力を持っていますが、しかし言葉だけでは、どれほど素晴らしい大統領の演説も大きな力は持ちえなかったことはいうまでもありません。

ウクライナの人々が自ら武器を手に、命をかけてロシア軍と戦っているからこそ、大統領の言葉も、聞く者の胸に突き刺さるような力を持ちえていることは、特に強調したいと思います。

しかし抵抗するからロシアの攻撃が激化するんだ、降伏するか妥協すべきだと主張する人々もいることを、20日のNHKの日曜討論で耳にしてびっくり仰天してしまいました。名前は覚えていませんが女性論者のお一人の発言でしたが、実はもっと強力な降伏論者がいることをこの番組の後に知って、びっくりギョ、仰天。

その論者とは橋下徹氏ですが、政治家を経験し、今も維新の会の事実上のオーナ-でありながら、彼には国を守る意思のないことが図らずも暴露されました。

わたしはかねがね、維新の会の保守派風衣装はニセ物だと思っていましたし、批判もしてきましたが、橋下氏は自らその正体を明かしたわけです。しかし有権者に、維新の会のニセの仮面がどこまで伝わるのか、マスコミの偏向ゆえに心配です。

橋下氏が勧めるように戦わずに降伏したらどうなるか。同じくバイデン政権下でのアフガニスタンはその典型例であり、ウクライナの対極例だといえますが、アフガンのガニ大統領は持てるだけのおカネを持ち出して国外に逃亡してしまいました。

残された国民は惨めで悲惨。仮に戦闘が収まったとしても、復興への意欲は湧いてくるはずもありません。アフガンではタリバンが実権を握り、ウクライナでは、もしも降伏したならばロシアが実権を握ることになりますが、どちらの国にとっても、降伏で明るい未来を取り戻せる可能性はゼロ。

ただわたしは当初、アメリカが軍事的に直接関与しないことは無責任だと批判してきましたが、ウクライナ軍が欧米から武器の供与を受けながらも自力で戦っていることが、ウクライナ全土の支配を目論むロシアの進軍を、ともかくも阻止することに成功している原因ではないかとも思えてきました。

子供を含む多数の犠牲者を出していますが、自力で自国を守るのだという気概、モチベーションの有無は、戦争そのものの帰趨を決するのみならず、戦争終結後の復興への動きにも大きな影響を与えるはずです。

折も折、昨日はまたもや北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、ミサイルが北海道沖の排他的経済水域に落下しました。しかし日本政府は例によって口頭で抗議するだけ。これまでも日本の排他的経済水域周辺のみならず水域内にも何度も何度も北のミサイルがブチこまれましたが、日本政府は口頭で抗議をするだけ。

安倍元総理は北のミサイル攻撃に対抗するためにも核共有は必要だと訴えているそうですが、その前に、北からのミサイル発射を迎撃して打ち落とす体制を、実効性をもって構築することが先決であり、可能なはずです。

実験と称していていますので、その実験を無効にする迎撃は日本の現行憲法下でも、自衛権行使として認められているはずです。非常に高価な迎撃ミサイルをアメリカから購入していながら、それを使うべきまさにその時においてすら使用せずに、ただ口頭で抗議するだけ。

何という情けなさ。自力で自国の領土領海も守れないのは、日本の自衛隊は米軍の許可なしでは、全く動くことができないからなのかとも考えてしまいます。あるいは米軍からは完全に独立しているが、日本政府・自衛隊にはそこまでの気概はないということなのか。

世界中どこを探しても、実験と称してであれ、繰り返し繰り返し、自国の領海に向けてミサイルを撃ち込まれても、ミサイル発射実験を阻止するための実効性のある軍事的反撃をせずに、ただ口頭で抗議するだけというのは、日本以外にはありません。

日本が反撃しないから北は繰り返し繰り返し実験を繰り返すわけですが、この日本の無抵抗主義は米軍の指示なのですか。「実験」すら阻止できない自衛隊に国が守れるのか、ウクライナ軍の果敢な戦いを見るにつけ、日本の基本的な国防力に非常な疑問を感じます。

北のミサイルに関連して、これまでは人的被害はありませんでしたが、漁業権はかなり侵害されています。北海道の漁業者は北のミサイル攻撃の可能性を想定して出漁を決めており、攻撃の被害回避のために、その分漁獲量は減少させられているからです。

歴代政権の腑抜けた対応が許されるているのは、漁業者の犠牲の上でかろうじて可能であることを、政府はとくと考えるべきです。今の日本は核共有論議以前のレベル。

原発事故とロシア

ロシアはウクライナの、原発事故を起こしたチェルノブイリ原発や同国最大の原発なども支配下に置いていますが、チェルノブイリ原発事故が、ソ連解体へのきっかけの一つになったことをロシアは想起すべきです。

わたしは、福島原発事故後、チェルノブイリ原発事故関連の本を何冊も読みましたが、チェルノブイリ原発事故は、ソ連邦体制の維持は困難だと感じさせ、連邦崩壊に導くほどの衝撃を与えたであろうことは容易に推測できるほどの過酷さでした。

チェルノブイリ原発事故の様相は福島原発事故とはかなり異なっていますが、今ここでは両者の比較検討はいたしません。今ここで伝えたいことは、当時のソ連政府は、チェルノブイリ原発事故の発生を知るや、原発からの放射能がモスクワに流れてこないように、気象兵器を使って、放射能をベラルーシに移動させたという事実についてです。

ベラルーシはウクライナに接していますので、放射能の拡散は不可避だったとはいえ、気象兵器を使った放射能の人工的な移動も、ベラルーシでの放射能被害を大きくしたであろうことは間違いないはずです。事実ベラルーシでは放射能被害者が多数発生しています。

ロシアと強固な同盟関係にあり、ロシアのウクライナ侵略も強力に支持している、ベラルーシの独裁的なルカシェンコ大統領はこの事実を知っているのかどうか。仮に知っていても自分の地位を守ってくれさえすれば、国民の安全などどうでもいいはずですので、ベラルーシの大統領にこの事実をあらためて伝えてもほとんど無意味だと思いますが、同国の皆様や世界に向けてあらためて注意を喚起したいと思います。

当時のソ連は原発事故の処理もどこまで責任をもって実施したのか。未曾有の事故でソ連政府は西側の専門家の力も借りて対応しようとはしていましたが、その後間もなくソ連崩壊。混乱が続く中、危険な状態を放置できず、日本や欧米などの支援も受けて破壊された原発を安全に保護するドームなども作られました。

ソ連崩壊後のロシアには、チェルノブイリ原発の安全保護にまでは手は回らなかったとは思うものの、プーチン大統領就任後、安定した国家運営に成功し、安定した状態が続きました。しかしプーチン大統領は、チェルノブイリ原発の安全性維持にどこまで協力したのでしょうか。

プーチン大統領は、親露政権の誕生には多大な援助をしたと思われますが、おそらく、チェルノブイリ原発の安全性維持のためにはほとんど支援はしてないのではないか。にもかかわらず、ウクライナへの侵略後は、真っ先にチェルノブイリ原発を制圧下において、原発のリスクを高めています。

これほど身勝手なプーチン大統領の戦争を許してもいいのでしょうか。アメリカは太平洋戦争で日本に勝利を収めた以降も、軍事同盟を結んでいない国への支援も含めて、何度も国外で戦争を繰り返していますが、その全てはアメリカよりもはるかに力の劣る小国ばかり。

そのアメリカもロシア相手では全く動きません。第三次世界大戦を避けるためだとのことですが、第三次世界大戦になりかねない大国相手では、たとえ自由を守るためだとしても、アメリカは直接的には全く動かないというその基本姿勢が、ウクライナ戦争では明確に示されました。

大国相手ではアメリカ軍にも多大の被害が発生することは不可避ですし、それ以上にアメリカ本土も戦場になる危険性も高くなりますので、アメリカが動かないのも無理からぬ面もありますが、日本も日米軍事同盟を結んでいるとはいえ、この現実をしかと認識すべきだと思います。

そして国連は、ロシアを常任理事国から即刻追放すべきだと思います。

なお以下の記事には、自国民にまで及ぶ、プーチン政権下のロシアの隠された怖さが紹介れています。
亡命ロシア人芸術家が語る、腐敗したプーチンのロシアとウクライナ侵攻
事業家だった父は行方不明、ロシアの圧政から逃げ出したイゴルブナ家の数奇 2022.3.25 JBPress

この動画は、わたし初の動画「久本福子の何でもチャンネル」第1回「縄文土器の競演」です。3.11の被災地で発見された縄文遺跡からの発掘品ですが、未曾有の被害をもたらした被災地では、今も大量の縄文遺跡が大量に発見されていることには驚かずにはおられません。ただこの驚くべき発見についてはマスコミではほとんど報道されていません。とても残念ですが、ピンぼけありのわたしの写真でも十分にその魅力の一部はお伝えできるかと思います。素人写真家のわたしが、撮影フリーの会場で撮影したものです。なおこの動画は3/23に公開しまして、twitterとfacebookでお知らせしましたが、少し修正して再アップしましたので、最初の動画URLとは異なっています。
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