SNS選挙、デマで勝つ

SNS選挙、デマで勝つ

東京都知事選でもSNSの威力は話題になりましたが、兵庫県知事選では、立花孝志氏による応援立候補という特異なサポートもあり、SNSの威力は、都知事選とはステージの異なる効果を発揮しました。しかも、X社までもが斎藤氏側に加担するという無法地帯下で行われましたので、知事選の結果は、新旧メディアの勝敗という単純な構図には収まらない問題を貼らんでいます。(アイキャッチ画像の斎藤、立花両氏の画像はNHKのサイトか出典)

 1.折田氏との関係も斎藤氏の公私混同例

兵庫県知事選での斎藤氏圧勝という、まさかの結果とその後に発覚した新たな疑惑によって、与党大敗で日本中が揺れていた衆院選は、はるか彼方にかすんでしまいました。

目下の最大の論点は、斎藤氏の選挙公報を請け負ったというPR会社との関係が、公職選挙法に抵触するか否かにありますが、PR会社の社長折田楓氏は、兵庫県の複数(3つも)の有識者会議委員を務めているほど、県とは密な関係にあるという。

任命権者は言うまでもなく斎藤前知事ですが、斎藤前知事が失職しても折田氏を含めた各種委員会の委員も全員退任することはありえないと思いますので、折田氏は選挙前も現在も県の複数の委員を続けているはずです。

ただ、折田氏を県の委員として最初に委嘱したのは、井戸前知事だったという。予算編成時期と関係しているのか、井戸前知事は退任直前に折田氏に委員を委嘱したとのことですが、折田氏の委員としての実際の仕事は斎藤知事になってからです。また、折田氏に複数(3つも)の委員を委嘱したのも斎藤知事下でのことであり、折田氏は斎藤知事からは、他の委員とは違って格別の重用を受けていたことはほぼ間違いないはずです。

斎藤氏側は、委員として折田氏には3年で15万円しか払っていないと釈明していますが、年間5万円とは余りにも安すぎます。他の委員もこんな安い報酬で委員を引き受けていたのかどうか、証拠を見せていただきたい。

仮に、3年で15万円だとしても、折田氏は選挙前から、県の地方創生にかかわる委員会など、重要な施策に関する委員会の委員に就任しています。その結果として、委員活動から派生する、県境を越えて多業種に及ぶ様々な利権に直アクセスしうる、特権的な立場を手にしていたはずです。

その折田氏が、斎藤氏の選挙運動を支援していたことは斎藤氏も認めています。県=斎藤氏に重用されていたという折田氏の特異な立場からするならば、有償か無償かにかかわらず、折田氏が斎藤氏の選挙運動を支えてきたということは、公益性に反する(公を私的に利用する)結果になるのではないか。

折田氏と斎藤氏の関係が、公職選挙法の条文に照らして違法性を問えるのかどうかは、素人には即断できかねますが、斎藤氏と折田楓氏との関係は、パワハラ問題で露呈した、斎藤氏の公権力(公的特権)を私的に濫用するという、斎藤氏の公私混同の本性が、選挙運動においても貫通していたことを証明する、重大な事例の一つではないかと思います。

公を私的に濫用するという斎藤流手法は徹底的に追及されるべきですが、斎藤氏の再選、ましてや対立候補に圧勝するとは誰も予想できなかった、衝撃的な結果をもたらした兵庫県知事選の内情については、折田氏との関係以外でも、さらに掘り下げる必要があると思います。

 2.「公益通報者保護法違反」問題は未解決

この衝撃的な結果をもたらした知事選めぐっては様々な論評が出ていますが、旧来のメディアよりもSNSの影響が勝(まさ)ったという点ではほぼ論者の認識は共通しています。

選挙戦におけるSNSの影響力の大きさについては、東京都知事選での石丸現象や、衆院選での国民民主党の大躍進でも証明されていますが、兵家県知事選におけるSNSの影響力については、都知事選や衆院選でのSNSとは同列に置くべきではないと思います。

というのは、兵庫県知事選では違法ないしは違法すれすれの、不正な手法が公然と使われてきたからです。

勝てば官軍とばかり、斎藤氏を持ち上げる輩も出てきていますが、この選挙は公正に行われたと断言できる人はいるのでしょうか。

確かに有権者の圧倒的支持を得て斎藤氏は再選されましたが、今回の選挙に限っては、数で表された民意が全てを決するという、民主主義の基本原則は適用できないはず。それどころか、民意に基づく開かれた統治という民主主義の根幹を悪用する手法で、民意が強引に斎藤氏に向けられたというのが、偽らざる事実ではありませんか。

それらの不正な手法を検証する前に、斎藤氏が知事職を失職するに至った、始まりの背景事情を確認しておきたい。想定外の結果に騒然となっている中で、この点を冷静に指摘されていたのは、以下の藤井聡京大教授です。

「再選の斎藤元彦知事」を京大教授が痛烈批判!「李下に冠を正さず」の精神は如何に蔑ろにされたのか?議会・百条委は「被疑者追及」の覚悟決めよ
2024.11.20 by 『藤井聡・クライテリオン編集長日記  MAG2

藤井氏は、斎藤氏は知事として再選されたものの、「公益通報者保護法違反」の疑いが濃厚であると指摘されています。その理由については上記記事にて詳述されていますが、その趣旨を簡潔にまとめた一文を以下に引用します。

今回告発されているのが「齋藤知事」の本人であるにも関わらず、その当の本人の齋藤知事自身が、「第三者」の意見を取り入れず、自分自身の知事としての権限を使って、本人の権限で「当該の告発はフェイクである」と断罪し、懲戒処分にしてしまっているからです。

選挙前に、全マスコミで報道されてきた内容を振り返ってみても、藤井氏のこの指摘を否定できる人は皆無のはず。

告発内容の真偽について、公平性を担保するためにも第三者機関に委ねるべきところを、斎藤氏は知事という最高権力者の権限を行使して告発内容を否定しただけではなく、告発者探しまで始めました。犯人捜しをする中で、問題のPCを見つけ出し、告発者を貶め、追い詰める行動に出たのです。

こんなことができるのは、独裁国家だけですよ。日本は、独裁者の恣意的な政治や判断は許されない民主主義国家です。おまけに、内部通報者を保護する公益通報者保護法が制定されています。その法治の基本に照らせば、斎藤氏は、公益通報者保護法違反の罪を犯した犯罪者の疑いが濃厚であることは、誰も否定はできない事実ではありませんか。

しかし兵庫県議会はなぜか、この疑惑についての結論を出さないまま、知事への不信任決議案を提出、全会一致で可決しました。この結果を受けて、斎藤氏は失職して再出馬するという選択をしました。

当時は、斎藤氏に対する「公益通報者保護法違反」の疑いについては、結論を出さないまま不信任決議案を出したとは、夢想だにしていませんでした。全会一致で不信任決議をしたということは、当然のことながら斎藤氏の不法行為を認定したものとばかり思っていましたが、結論を出していなかったとは余りにも不可解すぎませんか。

今から振り返ると、明確に斎藤氏の違法を認定すると、斎藤氏は知事選への再出馬は不可能になりますので、逃げ道作りのために結論を先送りにしたのではないかとさえ思えてきます。最大会派の自民党が、率先して不信任決議案を出していながら候補者を立てなかったという不可解事も、斎藤氏援護のためであったと考えれば、全て符牒が合いますね。となると、不信任決議案も、窮地に追い込まれた斎藤氏を救うためであったことになるのでは?

斎藤氏の知事当選を受けて、百条委員会は斎藤氏への尋問再開を開始することを明らかにしましたが、もしも斎藤氏が落選していたらどうなっていたのでしょうか。落選したので結論は出さないまま放置するのか、落選後も尋問を続け、結論を出すのか。いずれにせよ、百条委員会の動きは余りにも不可解すぎませんか。

選挙期間中は、百条委員会の委員たちには暴力的な嫌がらせがなされたようですが、選挙前にはその種の嫌がらせはまだ発生していなかったと思います。にもかかわらず、なぜ結論を出さないまま不信任決議案を出したのか。

選挙後、もしも結論を出すことになったとしても、兵庫県知事選での最大の論点の一つであったはずの、斎藤氏の違法行為の有無については、藤井氏が指摘するように曖昧なものになるのではないか。

藤井氏は、選挙で示された民意に配慮して曖昧にならざるをえないのではないかと分析されていますが、百条委員会が有権者に配慮することを優先するのであれば、まず結論を出してから不信任決議案をを出したのではないかと思われます。

しかし逆順になったところを見ると、その当たり前の進行ができないような動きが、選挙前からすでに、百条委員会に向けられていたのではないかと思われます。と書くと陰謀論者とのレッテルを貼られそうですが、誰がどう考えても、当たり前の手順を踏んで不信任決議案を出すことができなかったということは、それができない状況、それを妨害する動きがあったと見るのが、ごく自然ではないですか。

あるいは、選挙前から百条委員会は紛糾していたらしいので、百条委員会で結論を得るよりも、まずは選挙で決着をつけようとなったのかもしれません。

とするならば、選挙後の百条委員会の運営も難しくなりそうです。紛糾のタネになっているのは、知事の不正を告発した後、自殺した幹部職員のPCをめぐる問題らしいですが、これについては、後で触れたいと思います。

 3.不正選挙の実態

藤井聡氏は、「公益通報者保護法違反」の違法行為をもって、「齋藤氏には知事の資格はない」とまで断言されていますが、斎藤氏の再選が、違法な、あるいは違法に近い手法を駆使した支援を受けて、当選したことにまでは言及されていません。あくまで民意は尊重するというのが、藤井氏の基本姿勢です。

しかし斎藤陣営の選挙戦では、他のSNS選挙では見られなかった異様な手法が堂々と展開されていたことが明らかになっています。おおまかに分けると次の三つ。

  • SNSの不正利用
  • X社による選挙妨害
  • NHKから国民を守る党の立花孝志氏との「共闘」

<SNSの不正利用>

・ニセ情報の拡散

露骨なニセ情報による選挙妨害が行われたことです。以下は、その検証結果です。

兵庫県知事選 稲村氏が当選すると外国人の地方参政権が成立する?公約になく、本人も否定【ファクトチェック】
宮本聖二
2024年11月11日

以下は、ニセ情報に対する稲村氏の回答と説明です。非常に詳細かつ具体的にデマ、ニセ情報に反論されています。しかしXアカウントの凍結により、稲村氏側の反論の機会は、事実上、奪われたも同然の状態に置かれました。X社の言論封殺の蛮行は、メディア事業者の資格はなしと言わざるをえません。

みなさんの質問に答えます – いなむら和美

<X社による選挙妨害>

兵庫知事選では、斎藤氏にとっては最も強力なライバルであった稲村和美氏に対する選挙妨害が、SNSを使ったニセ情報の拡散などの卑劣な手法が大規模に行われていたようですが、そのSNS選挙渦中に、稲村氏側のXのアカウントが凍結されるという、信じがたい妨害工作まで行われています。

「選挙期間中の今月6日、後援会のXの公式アカウントが突然凍結され、投稿や閲覧ができなくなりました。
このため今月12日に別のアカウントを開設しましたが、このアカウントも開設した当日に凍結されたということです。」(兵庫県知事選 “うそ通報でSNS凍結”稲村和美氏の後援会が告訴))

ニセ情報や誹謗中傷をした場合は、X社の判断でアカウントが凍結される決まりになっていますが、仮に何らかの通報があったとしても、選挙期間中の稲村氏に対するアカウント凍結は、公正な判断がなされた結果によるものではないことは明らかです。

兵庫県知事選 “うそ通報でSNS凍結”稲村和美氏の後援会が告訴
2024年11月22日 NHK

どういう意図によるものなのかは今のところは不明ですが、X社は事実の検証なしに反稲村陣営に加担して、アカウント凍結という言論封殺を行ったことは否定できない明白すぎる事実です。

この結果を見るならば、その意図は不明ながらも、X社は斎藤氏の当選を確実にするために、最大のライバルであった稲村氏のアカウントを凍結し、稲村氏側の選挙活動を妨害したことは明白すぎる事実です。X社はなぜ、これほど露骨な選挙妨害と言論封殺を行ったのか、裁判では徹底的にその意図を明らかにしていただきたい。

わたしも、Xへ。悪事に手を貸すな!でご報告したように、X社の公正さを欠いた運営の被害を受けています。そして今なお、知らぬ間に作られたXのアカウント「@w1qjDr7teN45047」(https://x.com/w1qjDr7teN45047)を削除できない状況が続いています。アカウントを凍結された稲村氏とは逆の現象ですが、X社が悪事に手を貸しているという構図においては全く同じです。

SNSの運営者自らが、特定勢力と結託して、言論の自由を侵害したり、社会的正義を踏みにじる行為をするとは、恐怖以外の何ものでもありません。

X社まで加担して、斎藤氏の最大のライバルであった稲村氏へのデマの拡散やSNS妨害という、卑劣極まりない選挙運動が展開されていたことが選挙後に判明したわけですが、その一方で、斎藤氏に関しては、その政治手腕を事実に反して持ち上げるニセ情報が拡散されていたという。
斎藤知事1期目の公約達成率は27.7% 出直し選、SNSで「達成率98%」の誤情報広がる
2024/11/28 神戸新聞

こういうSNSを使ったニセ情報拡散選挙によって勝った斎藤氏は、真の勝者といえるのでしょうか。

不信感が募るばかりのXから別のSNSに変えたいと思って、いろいろ調べたり、試したりしていますが、不特定多数の人々に向けて発信できる、Xに類似したSNSはそう多くないような印象です。

試しに、BlueskyというTwitter(X)に似たSNSに登録したのですが、メール確認ができず(本人確認のためのメールが、登録したメールアドレスに届かず)投稿できません。やむなく今もXに投稿を続けていますが、今やSNSは、社会にとっても個人にとっても重要な意味を持つツールとなっていますので、X以外の選択肢がもっと開かれた環境下で提供されるべきだと思います。。

新興SNS「Bluesky」の利用者が急増 マスク氏への不満でX離れ 日本でも人気
2024年11月19日 ITMedia

<NHKから国民を守る党の立花孝志氏との「共闘」>

全く想定もしていなかったのが、立花孝志氏による斎藤氏支援を目的にした知事選への立候補です。立花氏は、立候補したのは自身が当選することが目的ではなく、斎藤氏支援のためであることを公言していましたが、これほど選挙を冒涜し、有権者をバカにした選挙への出馬はあるでしょうか。

立花氏は、東京都議選でも「ポスタージャック」と呼ばれるような異様な選挙利用をしています。大量の候補者を登録して得た大量のポスター掲示板を、選挙とは無関係な人物に有料で貸与。

NHK党のポスター枠「販売」いいの? 都知事選に大量擁立の立花孝志党首 法の抜け穴突く「荒稼ぎ作戦」
2024年6月19日東京新聞

この異様な選挙利用も法的には問題はないらしく、全くおとがめなし。立花氏は、自分が当選するためではないのであれば、何をしてもおとがめなしとの実績を得て、兵庫県知事選では斎藤氏を支援。

立花氏と斎藤氏、「実質2馬力」の兵庫県知事選 専門家は疑問も
2024年11月20日 朝日新聞

選挙ポスターには「前知事は、犯罪も違法行為もしていませんでした」「テレビの情報だけではなく、インターネットで調べてみてください」などと書いて掲げた。

街頭演説の会場は事前にSNSで公表する▽斎藤氏の演説の前後に同じ場所でマイクを握る▽斎藤氏に対する内部告発文書を「あれは内部告発ではない」などと主張し、「パワハラ」や「おねだり(物品の受領)」も否定する▽「メディアが言っていることは何かおかしい」「(斎藤氏は)悪いやつだと思い込まされている」などと聴衆に訴える――。(立花氏と斎藤氏、「実質2馬力」の兵庫県知事選 専門家は疑問も

立花氏は、立候補者に許可されているポスターや選挙カーなどの選挙資源を、全て斎藤氏支援のために使っているわけです。他の候補の2倍の「馬力」です。専門家も疑問を呈しているように、この選挙支援は、明らかに公平性を欠いた違法性を帯びているはずです。

しかも立花氏のSNSを使った斎藤氏支援の威力は凄まじく、斎藤氏の12倍もの再生回数を記録したという。
立花氏「援護射撃」1500万回再生、斎藤氏の12倍 兵庫知事選、ネット動画の爆発力
2024/11/19 産経新聞

もともと立花氏のフォロワー数は多かったと思われますが、知事選下で立花氏が記録した驚異的な再生回数は、斎藤氏の応援のためだけに立候補したという、立花氏の行動の常軌を逸した異常さが吸引力になったのではないか。

常識外れの異常な内容の投稿をすればフォロワー数を増やせるというのが、SNSの定石となっていますが、立花氏の手法は、その定石を誰も真似ができないほどに極大化したものですが、こんな異常な、選挙の目的外使用が許されていいのですか。

公職選挙法(e-GOV法令検索)を見ても素人には分かりづらい。
選挙LABOには、公職選挙法が分かりやすく解説されていますが、「選挙運動」については以下のような規制があるという。

▼選挙運動

公職選挙法の中心とも言える部分です。特定の候補者への投票を促す「選挙運動」について、非常に細かく決められています。

配布できるポスターの枚数や、選挙カーに乗ることが出来る人数・時間帯、選挙運動が出来る時期、ハガキや新聞広告を使った選挙運動、政見放送などなど「出来ること」「やってはいけないこと」が書かれています。

これらは候補者の資金力によって選挙活動に差がつかないように極力配慮する内容となっています。お金持ちが有利な選挙では公平とは言えませんからね。

特定の候補だけが有利になるような選挙運動は禁止されているということですが、立花氏の斎藤氏支援はこの規制に抵触しているのではないか。

しかも立花氏の斎藤氏応援活動は、ひたすら異常さを昂進させるばかり。斎藤氏のパワハラ疑惑を調査している百条委員会の委員を務める県議を脅迫し、辞職に追い込んだりまでしています。

「出てこい」県議宅前で演説、SNS中傷で辞職も 兵庫知事選で何が
2024年11月21日 朝日新聞

さらに信じがたいのは、稲村氏支援を公表した市長村長まで脅迫し、選挙が近づいた当該市町村長選で、稲村氏支援候補を落選させるために立候補することを表明しています。
「首長入れ替え」発言の立花孝志氏、1月の兵庫・南あわじ市長選出馬を表明 兵庫県知事選に続き
[2024年11月18日 日刊スポーツ

これほど異常な選挙の目的外利用を許すならば、選挙の意義が破壊されるだけです。選挙の公平性を担保することが基本だという、公職選挙法に違反しているのは明らかではないのですか。

しかしこれほど異常で違法な手法で斎藤氏が当選したことに関しては、その正当性を検証すべきであるにもかかわらず、勝てば官軍とばかり、維新の会の吉村氏は、不信任決議案を出し、斎藤氏を失職に追い込んだ県議会の責任を問うという、筋違いの驚倒するような見解を表明しています。維新の会が民主主義破壊の志向を有する政党であることが露わに出ています。

兵庫県議会の「みそぎ解散」はあり得るか 維新・吉村氏がけじめ要求、県議賛否入り乱れ
2024/11/22 産経新聞

ただ、この兵庫県知事選では、選挙が始まるや選挙関連の報道はほぼ皆無に近い状況になりました。通常の地方の首長選挙なら、全国紙や別の地方紙が逐一報道はしないというのは普通だと思いますが、日本中を巻き込んだ大騒動となった選挙です。

ましてや、異様な選挙運動が展開されていたことからするならば、メディアは少なくとも事実については報道すべきであったのではないか。メディアの沈黙が、デマの流し放題、Xまでもが言論封殺を強行するという一種の無法地帯の出現を許したのではないかと思われます。

旧メディアがSNSに負けたのではなく、旧メディアもSNSの不正利用に加担して、斎藤氏を勝利に導いたのではないか。選挙中の斎藤氏批判は、一種タブー化されていたのではないか。

 PCと不倫

なお、選挙の目的外利用としては、国民民主党の玉木代表にも特殊な疑惑が持ち上がっています。ちょっと品のないタイトルですが、他には類似の記事はありませんでしたので以下の記事を紹介させていただきます。
玉木雄一郎代表は二度イク?不倫相手女性「参院選擁立プラン」発覚で注目される高橋茉莉氏自死の真相。口説き文句は「国会議員にしてやる」だったのか…
2024.11.27 MAG2

この疑惑が事実であるならば、公党党首による目的外の選挙利用であり、かつ、公権力を私的に利用する二重の罪に問われるのでは?

斎藤知事を告発して自殺された県民局長も、不倫をしていた証拠が仕事用のPCに残されていたという。この私的な不倫情報が知事側の手に渡ったことが、自殺の直接の原因ではないかとも指摘されています。多分、そうだろうと思います。

しかしこの局長の場合は、公のPCを、不倫相手との私的なやり取りに使ったということと、多少は、仕事の時間内に私的なやり取りをしたという点では、公のものを私的に利用したという非難は免れないと思います。しかし、犯罪とみなされる要素はゼロに近いはず。不倫という道徳的な逸脱はあるものの、あくまでも私的な領域を出ていません。

県費を使ってデートしたとか、県絡みの利権の提供の見返りに不倫相手を篭絡したというのでもない限り、不倫そのもので公的な責任を問われるような事情は皆無です。この点は、玉木代表との大きな相違点です。

また、この局長が不倫という反倫理的な行為をしたということと、知事告発とは全く次元の異なる問題であり、両者は相殺できる関係にはありません。不倫の事実が明らかになったとしても、知事告発の正当性については微塵もその有効性は減衰しません。告発の正当性の有無については、第三者委員会による公正な判断によってなされる以外に、その正当性の是非を問うことはできません。

ましてや、第三者の調査を排除し、知事自らが告発をウソ、フェイクだと断定した上で、犯人捜しまで自らの指揮の下で強行し、不倫情報の入ったPCを見つけたわけです。このPCがなぜ、局長の告発がウソだと認定する材料になり、斎藤知事の潔白を証明するのでしょうか。

このPCを発見した経緯をたどるならば、このPCはむしろ、斎藤知事の「公益通報者保護法違反」を証明する物的証拠以外の何ものでもないはずです。告発した県民元局長は、不倫がばれたからといって、自殺する必要はなかったと思いますが、おそらく非常に誠実な方だったのだろうと思います。その誠実さが局長を告発へと促し、自殺へと自らを追い込んだのだろうと思います。

生き延びるのは、鋼の心臓と神経を持った人々です。

公権力を私的に利用した不倫といえば、確か安倍政権下だったと思いますが、厚労省の女性技官と内閣官房の高級官僚が公的出張に二人そろってお出かけし、高級ホテルに泊まったというあきれ果てた事例が発覚しましたことがありました。しかし官邸は全く問題なしとして、官僚二人の、税金を使ったお泊りデートも公認していましたね。

日本では、こういう人物が出世するんですね。

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