体調が万全ではなく更新が途絶えがちですが、久々の更新です。
気になる問題は色々ありますが、最近話題になっている3つの裁判について、かねがね感じていた素朴な疑問について書くことにしました。
1.京アニ事件
まず、裁判その1として取り上げるのは、京アニ放火殺人事件です。
この事件は、2019年7月18日、京都アニメーション(京アニ)第1スタジオで青葉被告がガソリンをまいて放火、あっという間に36人ものスタッフが犠牲になるという類例のない凶悪なものでした。
自分の小説が京アニに盗まれたという、容疑者の妄想が犯行の動機だという。裁判は9月5日から始まり、目下継続中ですが、すでに11回の公判が終わったとのこと。この間容疑者は、ちょっとやり過ぎだったという趣旨の発言もしてはいるものの、法廷では繰り返し盗作の妄想による主張や反論を重ね、自らの大量殺人を正当化しようとしています。
妄想による殺人となれば責任能力の有無が問題になり、最悪の場合、この大量殺人犯が無罪になる可能性もゼロではないという、恐るべき事態も想定されうる事件です。
新聞やネットには、法廷でのやり取りが要約的に紹介されていますが、これまでのところ、わたしがもっとも疑問に感じている点についての言及は皆無です。その疑問とは、青葉被告は、京アニ第1スタジオにどのようにして入ったのかということです。
事件発生後、当然のことながらマスコミは大報道をいたしました。わたしも西日本新聞で事件の詳細を知りましたが、記事の中で、事件当日は、NHKが撮影のために第1スタジオに来ることになっており、いつもは閉まっている入り口が開け放されていたとの記述がありました。
入り口が閉まっていたならば、青葉被告も簡単には中に入れなかったはずですので、余りの偶然にこのわずか1行ぐらいの文章が強烈に記憶に残っていましたが、その後、関連する情報には接していません。そうこうするうちに、SNSで、この事件にはNHKが絡んでいるという趣旨の投稿をした人がNHKから名誉毀損で訴えられ、敗訴したとのニュースを知り、驚きました。
この事件にNHKが絡んでいるということは100%ありえないものの、NHKの撮影クルーを迎えるために入り口を開けていたという偶然が、結果的に青葉被告の犯行を容易にしたことは事実ですので、この情報を青葉被告が事前に入手していたのかどうか、あるいは単なる偶然だったのかどうかはとても気になります。
加えて、青葉被告の犯行に至るまでの足取りとも考え合わせると、単なる偶然だとも思えないような印象も強まってきます。以下は時事通信オンラインに掲載されていた、青葉被告の足取りを追った図解です。【図解・社会】京アニ放火・青葉容疑者の主な足取り(2019年7月)
16日は、京都駅近くのネットカフェに2時間ほど滞在したものの、宿泊先は不明。この日のネットカフェ滞在は寝泊まりのためではなく、ネット利用のためであったのは明らか。
17日の午前中には犯行に必要な準備は終わったようですが、この日は犯行には至らず、公園にて野宿。
18日午前10時半頃、第1スタジオに侵入し、放火。
18日の午前中に、第1スタジオの入り口が開くことを事前に知っていたかのような動きに見えますね。もし仮にそういう想定が可能であれば、NHKの外部での撮影日程はNHKの職員以外も知っているはずですので、NHKのルート以外から何らかの方法で青葉被告に情報が伝わった可能性もゼロではありません。
精神的に不安定な人や精神に何らかの問題を抱えているような人は、外部から容易に操作、操縦することが可能ですので、何か悪事を企んでいる勢力はそういう人をマークして、さながら生きたロボットのごとく使うすべに長けていますので、自らの手を汚さずに、常識を越えた犯罪を実行に移すことも十分にありえるからです。
もちろん、ネット時代になって初めて可能になった犯罪形態ですが、ネット時代の現在は、かつてはありえなかったような、超常的な犯罪形態も視野に入れて犯罪退治に取り組む必要あがるはずです。
2.袴田事件
二つ目は、今年3月に最高裁から再審開始決定が出されたものの、検察が有罪立証を行うとして、やり直し裁判が行われることになった袴田事件です。57年も続く本事件をめぐる裁判については、以下に詳しく解説がなされていますので、ご覧ください。
袴田巌さん再審 検察は有罪求める立証を行う方針 審理長期化へ
2023年7月10日 NHK
57年前の1966年6月、今の静岡市清水区でみそ製造会社の専務の家が全焼して、焼け跡から一家4人が遺体で見つかり、会社の従業員だった元プロボクサーの袴田巌さんが強盗殺人などの疑いで逮捕されたという事件ですが、延々57年もの間、有罪、無罪をめぐって裁判が続いています。
今年3月、東京高裁が再審開始を決定したものの、検察はこの決定に従わず、何としても、袴田巌さんを有罪に持ち込みたいと執念を燃やしているわけですが、検察が有罪とする唯一の物的証拠は、事件発生から1年2ヶ月後に、みそ製造会社のみそタンクから発見された、血痕のついた5点の衣類だという。
検察によると、血痕のついた5点の衣類は袴田巌さんが犯行時に身につけていたもので、犯行を隠すためにご本人がタンクに隠したものだという。
事件後1年以上も経ってから見つかったということそのものが余りにも不自然ですが、1年以上も味噌漬けされていた衣類の血痕には赤みが残っていたというも、不自然さこの上もありません。再審を決定した東京高裁は、この証拠は捏造されたものだとまで断定していますが、検察には全く響かなかったらしい。
やり直し裁判でも、この衣類が何を証明しているのかが争点の中心になると思われますが、わたしが感じる素朴な疑問も、この血痕衣類をめぐってのものです。
この血痕については、1年以上もみそ漬けされた血痕に赤みが残っているのかどうかに注目が当たっていますが、営業中のみそ工場のみそタンクに隠された血染めの衣類が、1年以上も発見されないということがありうるのかどうかについては、全く論点になっていないらしいことが不思議でなりません。
衣類が発見された当時は、警察も現場検証をしたり、みそ製造に従事していた従業員などにかなり詳しく事情聴取したりしていたようですが、1年以上もの間、みそタンクに隠されていた衣類がなぜ発見されずにいたのかについてまでは、検証していないのではないか。
袴田事件: 冤罪・強盗殺人事件の深層
みそ工場は、事件後も変わらず営業を続けていたわけですから、みそタンクに隠された血染めの衣類が、1年2ヶ月も発見されないということは100%ありえないはず。この素朴な疑問を解明することは、事件の真相に迫る重要な一歩になるはずですが、なぜこれが論点にならないのでしょうか。
この血染めの衣類が投げ込まれたみそを知らずに買って使った方々は、後で知って、ぞっとしたでしょうね。
3.講談社元次長事件
三つ目は、妻殺害の罪に問われている元講談社次長をめぐる裁判です。7年前に起こった本事件の概要は、以下の記事をご参照ください。
妻殺害の罪に問われる 元編集次長のやり直し裁判始まる
10月03日 NHK
逮捕の講談社編集次長の妻「夫の暴力に悩んでる」と語っていた
2017.01.12 女性セブン
元講談社次長の朴鐘顕被告は非常に有能な編集者だとのことで、殺人容疑で逮捕された後も、講談社は朴被告を休職扱いにして(社員として遇して)、裁判の支援も続けてきたという。その一方、上記「女性セブン」によると、事件発生の2ヶ月前に人事異動があり、朴被告は望まない、出世コースから外れた部署に異動させられていたという。
とはいえ、かなり優秀な編集者であった朴被告が、なぜ妻を殺害したのか。育児や家事をめぐる夫婦間のいざこざが背景にあったらしい。7年前の事件発生後には、マスコミも大々的に報道し、ネットでも様々なニュース満載でした。
朴家には子どもが4人(当時、小学3年、2年、幼稚園、1歳)いたそうですが、奥さんが夫のサポートがないことへの不満を、常々友人知人にもらしていたことも報道されていました。当然、夫婦間でもいざこざが絶えない日々であったようです。そうした日々が続く中、奥さんは、夫からの暴力について文京区子ども家庭支援センターにまで相談していたほどだったという。
という家庭事情からすると、とっさの成り行きであったにせよ、朴被告には奥さんを殺害する動機が存在することは否定はできないと思います。
事件発生当時、マスコミは大々的に報道しましたが、夫である朴被告は、奥さんは階段から落ちて死亡したと話していることも大きく報道されていました。わたしはこの死因報道を目にしたとたん、これはありえないと即断しました。わたしは2回自宅の階段から落ちた経験があったからです。
1度目は、結婚前の20代前半の頃、実家の2階から足を踏み外して落ちましたが、右手の小指にひびが入っただけでした。小指のひびも痛いのは痛いですが、軽傷の部類だと思います。2度目は、三多が亡くなった後ですので、50代前半の頃、皿山の自宅の2階の階段から落ちました。この時は、脇腹の打撲だけで、通院の必要もないほどでした。
わたしの実体験を持ち出すまでもなく、普通の民家の2階の階段から落ちたぐらいでは重傷を負うことはありえません。ましてや死亡することは100%ありえないことは明白すぎる事実です。ただし、非常に激しい力を加えて突き落とすと、骨折などの重傷もありえるとは思いますが、当人がうっかり踏み外したぐらいでは重傷はありえません。
という実体験もあり、わたしは、朴被告のありえない死因説明は、真の死因(殺人)を隠蔽するものだと心密かに断定しました。いつかこの疑問についてブログで発信しようと思っていましたが、その後、この事件に関する報道は、わたしが普段接する媒体では全く見聞きすることがなくなり、思い出す機会も、発信する機会もなく、7年が過ぎてしまいましたが、先日、西日本新聞に、1段組の小さな扱いながら、この裁判について最高裁から出された差し戻し裁判が始まるとの記事を目にし、えっ、最高裁まで裁判が進んでいたのかと大驚愕!
わたしは、この小さな記事を目にするまでは、この事件については、発生直後に大々的に報道された第一報以降の、裁判などの報道は全く見聞きしていません。わたしの見落としもあったかもしれませんが、わたしの普段のニュース源の偏向姿勢も影響しているのだろうと思います。
という事情もあり、わたしは事件から7年経ったここ数日、ネットを使って初めて、第一報以降のこの事件の流れを把握することができました。
事件発覚後、奥さんは階段から落ちて死んだと説明していた朴被告は、司法解剖の結果、死因は窒息死であることが分かると、平然と前言を翻し、“階段の手すりに自分(朴被告)のジャケットをくくりつけて、首を吊って自殺した”と供述を変えたという。
ジャケットを階段の手すりにくくりつけて、首を乗せてほどけずに縊死できるかといえば、100%ありえませんね。仮に固くくくりつけてほどけないようにしても、ジャケットのような幅広い布製品が、首を乗せた自重で首を締め付けて縊死に至らしめるかといえば、これも100%ありえませんね。
首つり自殺は、一気に首に食い込む細い紐状の物を使い、自重が完全に首に食い込むことを可能にする空間(足がどこにも着かない宙ぶらりんを可能にする高さと空間)がなければ不可能ではないですか。朴被告の供述では、首つり自殺は100%ありえないことは明らかです。
また奥さんの額には、3センチほどの深い切り傷があったそうですが、この切り傷は、奥さんが存命中に付いたものなのか、死後(心臓が止まった後)、朴被告が自らの殺害を隠蔽するために意図的に付けたものなのかも裁判の争点の一つになっているという。
朴被告は存命中に付いた傷だと主張していますが、存命中の傷ならば、その傷の大きさと額という場所からしても、顔中血だらけになっていたのは言うまでもありませんが、血だらけの様子を証明する物は皆無です。
当時の状況では首つり自殺は物理的に不可能なことは明らかですので、縊死前に、二人がもみ合った時に付いた傷ならば、顔中血だらけどころか、奥さんの衣服や布団のみならず、首つり自殺時に使ったという階段や手すりやジャケットなどにも血が飛び散っていたはずですが、そうした痕跡は皆無です。
実は最高裁の差し戻しも、この額の傷の検証が不十分であることがその根拠になっているようです。血が出ているか否かを示す写真も不鮮明で、判断が困難ということで、改めての検証が求められたらしいですが、血だらけになった様子を証する物は皆無であることもまた事実ではないかと思います。
事件発生直後の第一報以降に、朴被告の供述が二転三転したことも含め、次々と明らかになった事実は、朴被告にとっては非常に不利なものばかり。わたしが普段接しているメディアがこの事件をほとんど報道しなかったのも、この新たな事態を極力隠したいとの配慮ゆえだったのかもしれません。
東住吉事件
ここで連想的に思い出されるのは、かなり古い事件ですが、大阪の東住吉事件です。この事件については、冤罪という視点で以下の文春オンラインで詳細に報告されていますが、この事件でも在日韓国人男性が犯人の一人として裁判を受けています。
晴れた冤罪。だが内縁夫の性的虐待はなかったことになった ――青木惠子さん55歳の世にも数奇な物語【再公開】相澤 冬樹 文春オンライン
母親と義理の父親が保険金目当てに、共謀して入浴中の11歳の少女(めぐみちゃん)を放火によって焼死させた罪で服役中だった青木恵子さんとその夫は、再審で無罪を勝ち取りました。無罪の決め手となったのは、義理の父親の供述の方法では放火できないことが証明されたとのことで、自然発火による事故とみなされ、無罪となったという。
その一方でこの事件では、義理の父親がめぐみちゃんに性虐待を加えていたことも明らかになっています。義理の娘に対する男の性虐待は小学校3年頃から始まり、5年生頃からは性行為も始まり、40~50回にまで及んだという。(上記記事中のhttps://bunshun.jp/articles/-/45681?page=2)
義理の父親による少女への虐待はかなり長期に及んでいますが、母親である青木恵子さんは、取調中に警察から言われるまでは全く知らなかったという。焼死した少女の遺体には、この日も性虐待の痕跡が残されていたというのに、共に在宅中の母親が虐待に全く気がつかないということがあり得るのか。娘にとことん全く無関心であったとしても、同じ家に住んでいて気がつかないということは、ありえないと思いますね。
青木恵子さんがめぐみちゃんのお仏壇に飾っている写真は、めぐみちゃんが8歳の頃、写真館でウエディングドレスを着せて撮った写真だとのことですが、8歳といえば、義理の父親による性虐待が始まった頃でもありますね。母親がそれを知らずにこの写真を撮ったのであれば、これ以上の悲惨、無残はありませんね。
めぐみちゃんの写真がhttps://bunshun.jp/articles/-/45680?page=5に掲載されていますが、とても美しいドレスを着ているにもかかわらず、めぐみちゃんからは喜んでいるような気配は全く感じられません。むしろ何かに怯えているような、暗い表情をしているのも気になるところです。
夫による義理の娘への性虐待は、この事件の冤罪を生む最大の原因だったという。この事実をばらすぞと脅されて、やってもいない放火を認めたというのがこの事件の最大の問題点ですが、この事件の冤罪を告発してきた当事者や支援者たちの言動からは、冤罪という重罪に比べれば、8歳から11歳の死の間際まで続いた少女への性虐待などは、ささいなことだと見なされているような印象すら受けます。
無残、悲惨な形で短い命を奪われた少女の無念さについては、誰一人として晴らそうとはしないまま、再審無罪を勝ち取った夫婦とその支援者にとっては万々歳となったわけですが、素人の目には、なおいくつかの疑問が残ります。
まず、車からガソリンがもれて自然発火したとの青木さんたちの主張がその通りだったとしても、当時の青木家の間取り、構造からすると火事になる前に、ガソリンもれに気がつかないということは、100%ありえないのではないか。
当時の青木家の作りは非常に珍しく、土間が車庫になっており、出入り口には玄関らしくガラス戸があり、ガラス戸を閉めていると、家の中に車を止めていることは分からないような構造になっていました。
わたしは青木家の内部を撮した写真を見たのですが、上記の文春オンラインには、非常に分かりやすい見取り図が掲載されていますので、出典を明示して拝借しました。車庫の土間の先は座敷(居間)になっていますので、もしもガソリンがもれていたならば、気がつかないはずはありません。
ガソリンのにおいは強烈なので、仮に外に作られた車庫であっても気がつくはずです。ましてや、ガラス戸を閉めた室内の車庫に置かれた車からガソリンがもれたならば、夫婦二人は室内にいたわけですから、どちらも気がつかないということはありえないはず。
しかも、火事に気がついても、夫婦二人ともお風呂にいるめぐみちゃんを助け出そうとはしていません。親であるならば、我が身が火傷を負ってもかまわずに、お風呂の戸を蹴破ってでも娘を助け出そうとしたはずですが、性虐待を続けた義理の父親はもとより、母親の青木さんも娘を焼死するに任せて、我が身の安全だけを守っています。
8歳頃から始まり、焼死する直前まで続いたという、夫による娘への性虐待には全く気がつかなかったという青木恵子さん。我が家が火事になっても、消防への119番通報はしても、火の手から娘を救い出そうとはしなかった青木恵子さん。
わたしは、このような方が、冤罪だとして警察官を断罪したり、冤罪者支援で日本各地を行脚なさっているということが不思議でなりません。
この事件と、講談社元次長の事件に共通しているのは、素人にとっては素朴な疑問に思われる事柄が、放置されたまま、あるいはなおざりにされたまま裁判が続けられてきたということです。もちろん京アニ事件や袴田事件でも同様です。