国際政治の劇的な舞台となったG7広島サミット。多々批判も出ていますが、広島で開かれたこのサミットは、我々日本人にとっては、あらためて戦争と平和について学ぶ機会になったのではないかと思います。
1.G7サミットとゼレンスキー大統領
事実は小説よりも奇なり・中編の完結編となる後編を本号のテーマにする予定だったのですが、ゼレンスキー大統領も参加したG7広島サミットについても、ちょっと一言触れたいと思って書き始めたところ、ちょっと一言では終わらずに長くなってしまいましたので、サミット関連だけで公開することにしました。後編は単独テーマとして、余り間を置かずに続けて公開することにいたします。
話題満載のG7広島サミットが終わりましたが、原爆投下地広島でG’7サミットが開かれた意義は、想定していた以上のものがあったように思います。岸田政権としては、サミット成功に向けてかなり入念に事前準備をしていたことが、西日本新聞に詳細に報じられていましたが、岸田総理の的確な指示があっての成功であったらしいことは、認めてもいいのではないかと思います。
開催地が広島に決まった当時は、岸田総理をめぐる公私混同のスキャンダルが続出していたこともあり、岸田総理はG7までをも我田引水的に利用しで地元開催に決めたのかという認識しかありませんでしたが、G7開催を通して、我々日本人にとっても、広島は原爆が投下された地であることを改めて認識させられる機会になったのは確かだと思います。
さらに、ゼレンスキー大統領の電撃訪日とG7サミットへの参加。政治家の経験もない役者出身という経歴からは想像もできないほどのリーダーシップと積極果敢な外交力、加えて、戦時下の最高責任者としてのぶれない強さと柔軟性。
ゼレンスキー大統領は、アメリカの支援なしには、ロシアへの抗戦を続けることは100%不可能であることを重々承知しつつも、アメリカからは距離を置くグローバルサウス首脳にも働きかけ、中国との連携を強めつつあるサウジアラビアをも訪問し、中国の和平提案にも耳を傾けつつも迎合せず。対ロシア戦に勝つためには、躊躇やためらいは無用だとばかりの、ゼレンスキー大統領の行動力にはただただ感嘆するばかりです。
ゼレンスキー大統領を余りほめすぎると、支援に悪影響が出てくる可能性もゼロではありませんが、命をかけてロシアと果敢に戦っているのはウクライナ国民です。我々日本人にはとても真似はできませんね。
ウクライナ戦でロシアが勝ったり、ロシアに有利な条件で戦争が終結するならば、侵略したもの勝ちという、戦前の世界が新たな形で再現されることになるはずです。しかもこの世界が再現されるならば、中国やロシアという独裁的志向の強い勢力によって世界は先導されることになる危険性も排除できません。
人口や経済力ではG7の威力は下降しつつあるとはいえ、政府の抑圧や監視のない社会で自由な暮らしをしたいという思いは、地球上に暮らす人々全ての願いであり、本心だと思います。ウクライナを支援するゆえんです。
アメリカの共和党の中には、ウクライナ戦争は領土紛争であり(ロシアによる侵略とは見なさい)、ウクライナへの支援は縮小、停止すべきだという声もあるようですが、この動きはロシアを喜ばすだけであることは言うまでもありません。侵略した者勝ちだとの前例を作るだけです。
2.真の平和とは何か
ただ、肝心の核廃絶や核軍縮をめぐっては、新しい動きはほとんどなかったとの強い批判が多々出されています。
G7広島サミットの核問題に関する基本姿勢は以下の「広島ビジョン」に示されています。
核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン (2023年5月19日 於:広島)外務省
結構、長い文書ですが、核抑止の必要性を明確に認めており、核をめぐるロシアや中国や北朝鮮の動きを批判するというのが基調になっていますので、核廃絶を求める人々からの厳しい批判はある意味、当然だといえそうです。
しかしもしも仮に日本が米国の核の傘からの離脱を表明した場合、ロシアや中国や北朝鮮の動きが、日本の安全や国益を守る結果をもたらすように変化するのかといえば、それは100%ありえないはずです。ウクライナが実例です。
ウクライナは核兵器を完全に廃棄しましたが、ロシアに侵略され、激しい破壊攻撃に晒されています。1年以上経った今も、ロシアによるウクライナの完全掌握が成功していないのは、ウクライナが徹底抗戦を続けているからです。
さらに遡るならば、2014年にロシアがクルミア半島を電撃的に軍事占領した際は、当時のウクライナは親ロシア派の大統領だったこともあり、全くの無抵抗でロシアの領土占領を受け入れました。
ウクライナはその後も、ロシアに対しては無抵抗のまま、ロシアによるクリミア半島占領を受け入れてきました。しかしロシアはゼレンスキー政権が欧米寄りだというだけで、全く無抵抗のウクライナに対して、再び軍事侵略を開始。ロシアによるウクライナ攻撃は今も続いています。
ウクライナは、時の政権がロシア寄りでもロシアに領土侵略され、欧米寄りでも領土を侵略されています。
ウクライナに対するロシアの武力侵攻について、10の知っておくべき事実 在日ウクライナ大使館
ウクライナ戦争は、武器を持たず、無抵抗のままでは領土を守ることも、真の平和を獲得することも不可能だという世界の現実を示しているはずです。ウクライナがロシアによる2度目の侵略時も、クリミア半島侵略時と同様に全く無抵抗であったならば、戦争はすぐさま終結したでしょうが、ウクライナはとっくの昔にロシアの占領地になってしまっていたはずです。
武器を持たず、全くの無抵抗ならばドンパチはすぐにも収まったかもしれませんが、こんな「平和」がほんとうに平和だといえるのですか。
一方、今やロシアの強力な同盟国となった中国も、一帯一路に加わる友好国に対してすら領土・領海の侵犯を何度も何度も繰り返しています。中国は、友好関係を結んでも、一方的に、友好国に対してすら、領土領海を侵犯することを躊躇しません。
それどころか、血であがなわれた同盟だといわれるほどの、固い絆で結ばれた北朝鮮に対してすら、領海侵犯が繰り返されていました。こちらは公的機関の関与ではなく、民間の中国漁船だとは思いますが、何度も何度も北の領海に侵入し、漁を繰り返していたという。
北朝鮮は中国漁船に警告を発していましたが、警告は無視され、中国漁船による領海侵犯が続きます。堪忍袋の緒が切れた北朝鮮漁船はついに中国漁船に向けて発砲、威嚇射撃をしたという。
この発砲後、中国漁船の領海侵犯はなくなったという。当然のことながら、発砲は金正恩首領様の許可の下に行われたのは言うまでもないでしょう。北朝鮮にとっての中国は、日本にとってのアメリカ以上の重みがあるはずです。
しかし北朝鮮は、中国が好き放題に北朝鮮の利益を侵害することは絶対に許さないという、強い意思を表明したわけです。中国政府からは謝罪も抗議もなかったようですが、両国関係は悪化するどころか、より緊密度を高めています。
この事件は、コロナ前の3,4年前、新聞に小さな記事で紹介されていましたが、ここには安全保障の要諦が詰まっていると思い、強く記憶に残っています。
日本国憲法の前文には、平和を可能にする理想郷が格調高く記されていますが、こんな理想郷はどこにも存在しないことは多言は無用。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
(日本国憲法・前文)
その北朝鮮は、G7広島サミットでも名指しで非難されていましたが、北朝鮮の核実験やミサイル発射に要する費用は、事実上、日本が援助しているのも同然であるという事実も、最近明らかになっています。
北朝鮮、日本から仮想通貨980億円奪取 世界被害額の3割
2023年5月15日 日経新聞
安倍政権時にも、北朝鮮が日本の仮想通貨交換所から600億円近い通過を盗んだことが、米国のみならず国連からも指摘されましたが、安倍政権は何の対応もしていません。捜査機関も全く動いていませんので、安倍政権が北朝鮮の大強奪を黙認することを関係機関にひそかに通達したものと思われますが、その後も北による日本での強奪が続いてらしい。その額、何と980億円!世界の仮想通貨被害額の3割にも及んでいるとは!
北朝鮮の核威嚇に対しては、米国から武器を購入する必要はありません。北朝鮮が日本でやりたい放題を続けている大強奪犯罪を阻止、摘発することがもっとも効果的な方法です。資金源を断つならば、ミサイル開発はもとより、金正恩体制そのものも揺らぐ可能性すらあるはずです。しかし岸田政権も安倍政権同様、北朝鮮の強奪はやりたい放題に任せています。
北朝鮮の大強奪犯罪を日本政府が野放しにしているのは、拉致被害者への配慮ではなく、現岸田政権を含む歴代政権が日本人を生贄に捧げてきた、絶対服従の統一教会の意向を受けたものではないのかとも思います。
その統一教会からも北朝鮮に資金が流れているそうですが、その額、4000億円超だという。言うまでもなく、統一教会の資金も日本人から強奪されたもので、統一教会による日本人からの超巨額資金の強奪も、日本政府公認です。
つまりは、北朝鮮に流れる巨額の不正資金は、日本政府による犯罪幇助の結果、北朝鮮にもたらされたものであるということを、日本も世界もしかと認識すべきです。北朝鮮の体制を支える主たる資金源を放置したまま、G’7や国連で北朝鮮を非難することは茶番でしかありません。
北朝鮮と統一教会による大犯罪を黙認、助長している日本政府は心底恥ずべきですが、日本政府を代表する岸田総理には恥じる気配は皆無のよう。
統一教会に解散命令を即刻出すべきです。統一教会への解散命令なしには、日本の平和は実現できません。
3.翔太郎秘書官の公私混同
それどころか、岸田総理には危機感はなし。岸田総理のご子息翔太郎首相秘書官による公私混同がまたもや発覚しましたが、岸田総理は今回もご子息の公私混同を容認しています。
岸田首相の“ダメ息子”翔太郎氏にも国民愚弄のDNA…由緒ある公邸階段で忘年会「組閣ごっこ」
日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー • 6 時間前
岸田総理は、公邸には私的エリアと公的エリアとがあり、プライベートゾーンで親族の宴会が行われたことは何ら問題ではない。ご自身も顔を出したとのこと。ただ、公的エリアでの行為は軽率であり、本人にも厳重注意したとのことで、更迭する考えのないことも明言しました。
確かに私的エリアで何をしようが、問題はないというのはその通りだとは思いますが、官邸の私的エリアと、ご自宅(私邸)とは同列視できないことは子どもにも分かる道理です。
しかしご親族が2,3人集まって宴会したというのではなく、集われたご親族の数は驚くほどの大人数。これほどの大人数が集まって公邸で宴会を開くとは、通常は誰も考えもしないはず。前代未聞の珍事だと思います。
大勢のご親族の中には、公邸の内外を散策する際、各所をスマホで撮影したり、内外の出入りのルート公邸内の見取り図的なものを、思わず知らず確認した人たちもいるはずです。そうした情報が悪意なく外部に漏れ出る可能性はゼロではありません。
一旦、外部に流出したならば、それらの情報が悪用されないという保証はどこにもありません。悪用されるならば、どうなるか。
父親から息子に厳重注意するだけでは済まされない、重大な事態も想定できるわけです。首相秘書官ならば当然のことながらその程度の想像力は必要ですが、翔太郎首相秘書官にはその種の配慮は欠けているらしく、自ら大宴会を開催。更迭以外の選択肢はないはずです。
公邸の住人は岸田家で打ち止めではなく、今後も延々と新しい住人が続きます。公邸で暮らすということは、日本の政治史の過去のみならず、未来をも背負っているとの認識は、漠然としたものであっても、自ずと感じるものではないかと思っていましたが、岸田親子にとっては、楽しい嬉しいマイホーム以上のものではなかったようです。
ただひたすら息子を溺愛する岸田総理の父親としての顔がクローズアップされるばかりですが、騒動の度に、翔太郎氏はこれほど幼稚で子どもっぽい人だったのか、これほど社会常識の欠落た人だったのか、との悪印象が強まるばかりです。
自民党の中からも、翔太郎氏はしていいことと悪いことの判断がついていないとの声が出ているようですが、まさにそのとおり。父親が庇護すればするほど、翔太郎氏は成長の機会を奪われつづけるだけでしょうね。
しかも、岸田家一家庭の問題ではなく、日本の政治に直結する重大事態です。岸田総理は日本国の総理大臣として冷静にご判断いただきたい。
なお岸田政権は、看板政策である異次元の子ども子育て支援に、社会保険料からの流用や保険料値上げで対処しようとしています。「異次元」と言いながら、これほど無能な案しかだせないのかとあきれ果てています。しかも財源が社会保険料なので増税ではないとまで言い放つ始末。国民をバカにしているとしか思えません。(5/28)