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葦の葉ブログ2nd」より転載
新型コロナをめぐる驚くべき事実、次の三点が判明しました。
一つ目は、コロナ禍で、巨万の富を手にした人々がいるということ。二つ目は、大気中から新型コロナウィルスが検出されたということ。三つ目は、アメリカの公的機関が武漢のウィルス研究所を支援していたということです。これらのどれか一つとってみても驚愕の事実ばかりですが、それが三つも!とは。おそらくこれらは有機的に繫がっているはずです。以下、個別に検証しつつ、どのようにつながっているのかも明らかにしたい。
1.コロナ禍で、巨万の富を手にした人々
わたしは新型コロナ発生以来、このコロナの陰で莫大な利益を手にした人々がいるはずだと直感的に推量していましたが、その直感を裏付けるような情報はなかなか見つかりませんでした。堤未果氏の関連サイトには、世界銀行(世銀)が発行しているパンデミック債が絡んでいるらしいとの情報が出ていましたが、パンデミック債はWHOの活動に制約を加えてはいるものの、その基本的な仕組み上、特定の勢力が巨万の富を手にするという事態は生まれていない模様です。
パンデミック債は以下の解説にあるように、後進国でパンデミックが発生した場合、民間資金を活用して対処する目的で、2017年に世銀とWHOが連携して債権を発行したものですが、債権の種類は次の2種。
A 中リスク、中リターン、B ハイリスクハイリターン。A=ロンドン銀行間取引金利+6.5% B=同金利+11% (*ロンドン銀行間取引金利・・・世界の平均貸出金利)
銀行利子が0かマイナスかという状況からするならば、Bはもとより、Aでもかなりの高利子債権ですが、これらの利子は日本とドイツが負担しているそうです。日本のこうした貢献については、日本のマスコミはほとんど報道しませんが、いざパンデミックが発生するとAでは元本の20%、Bでは元本の全額が戻ってきません。確かにリスクは高い。
つまりこの債券の場合は、利益とパンデミックとは相反関係にあるので、債券保有者は誰もパンデミックの発生は望んでいません。WHOによるパンデミック宣言が遅れたのは、債券保有者の利益擁護のためだったのではないかとさえ言われているほどです。被害にあえぐ後進国の助けにもなっていないという事実も浮き彫りになっています。
世銀「パンデミック債」の誤算 コロナショック渦中の先進国は想定外(2020年4月6日 日経ESG)
ではコロナ禍で巨万の富を手にしたのは誰か。アメリカに拠点を置く新興の投資家たちです。専門家の間では知られている投資家たちかもしれませんが、わたしのような素人にまでは知られていないという意味で「新興」と呼ばせていただきましたが、ある意味非常に危険な債券を使って巨利を得るという投資手法においても、新種の稼ぎ手ではないかと素人目には映ります。
探しても探してもなかなか見つからなかったこの貴重な情報は、以下のサイトで発見しました。今回はこの「巨万の富」を追いかける予定だったのですが、その裏付けが取れず落胆していたところ、思いがけない場面で以下の記事を発見しました。ご自身も投資家として事業を営んでいる方の、ホットなレポートです。
コロナパニックで「巨額の富を築いた人」たち、その知られざる正体 数千億円をポンっと寄付する男も…! 岡村聡 「現代ビジネス」
以下にポイント部分を引用します。
「この混乱下でリターンを上げた投資家はいくつかのタイプに分けられます。
まず、ヘッジファンドの中ではマルチストラテジーと呼ばれる多様な投資対象に複数の戦略を使い分けるファームが健闘しています。マルチストラテジーの雄であるシタデルやミレニアム、バリアスニーといったファンドは揃って3月末時点で、年初来プラスのリターンをあげています。」
「また、個別の取引で大きなリターンを上げたファンドもあります。著名なヘッジファンドマネージャーであるビル・アックマンが率いるパーシング・スクウェアは、約2700万ドル(約29億円)で購入したクレジット・デフォルト・スワップ (CDS)がマーケットの混乱で100倍近くの約26億ドル(約2800億円)にまで高騰し、ファンド全体でも3月に11%以上のリターンを上げて、年初来からのマイナスを打ち消しプラスにまで急回復しました。」
経済活動が完全にストップして日本でも世界でもバタバタと倒産する企業が多発する中で、100倍もの巨利を上げるとは!しかしギリシャを始めたとした欧州危機時に初登場した(素人目には初)CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が、今回のコロナでも登場したとなると、ある意味なるほどと納得せざるをえません。
ところでCDSとは何か。次の解説をご覧ください。
「サブプライムローン崩壊の裏側にあったCDSとは―CDS(Credit Default Swap)とは」
上記解説を要約すると、CDSとは、企業や国が倒産、破綻した場合に生じる損失補填をする保険のようなものです。通常は社債や国債などの保有者=債権者が補填対象者となりますが、社債や国債を持たない人でもCDSの保証料=保険料を払っていれば、債権者同様に損失補填を受けることができるという奇妙な金融派生商品です。
当然のことながら、企業が安定経営を続けていれば保証料は払い損になりますが、企業が破綻すれば、CDS保有者には支払った保証料の何十倍、何百倍ものリターンが入るという超ボロ儲け可能な投機商品です。相手が国であっても同様です。ギリシャが投機筋の標的にされていたギリシャ危機が思い出されます。
今回のコロナ危機でも同様の手法で一部の投機筋(ヘッジファンド)が超ボロ儲けしたわけです。先にご紹介した岡村氏のレポート以外にも、「ブルームバーグ」にも別のヘッジファンドがCDSで巨利を得たことが報道されています。
サバ・キャピタルが82%リターン、CDSなど駆使し同業ファンドに差
bloomberg 2020年3月28日
「bloomberg」にせよ、「現代ビジネス」の岡村氏にせよ、CDSで巨利を手にしたヘッジファンドは先見の明のある優れた投資家であるとの評価に立って記事にしており、その手法を怪しむ気配は皆無。しかし新型コロナウィルスが人為的に散布され、その情報が特定のヘッジファンドに伝えられて、超巨万の富を特定の勢力がゲットしたという想定は成り立たないのでしょうか。そんなボロ儲け確実の投資(投機)手法があったのかと、にわか投資家が激増しないかと心配しつつ推測しております。
2.大気中に新型コロナウィルス
日本では全く報道されていませんが、大気中の汚染粒子から新型コロナウィルスが検出されたとの驚くべき事実が明らかになっています。人工的に気象を改変しようとする動きを監視する(Geoengineering Watchグローバルアラートニュース、2020年5月2日、#247 )
Geoengineering Watchのサイトで知ったのですが、同サイトの「グローバルアラートニュース」4月25日号に掲載されていた以下のニュースです。(Google翻訳による)
コロナウイルスが長距離に渡って運ばれる可能性のある大気汚染粒子で検出されたと科学者が警告 (「Geoengineering Watch Global Alert News、2020年4月25日、#246」ガーディアン紙のニュースを解説紹介したもの)
日本でも5月3日に、大気汚染とコロナ死との関係を報じていました。
大気汚染、致死率に影響か コロナ感染、欧米で調査(共同通信)
しかしこの報道とGeoengineering Watchの報道とは似ているようで全く異なっています。大気汚染下で暮らしている人々はコロナによる致死率が高いというのと、大気中の汚染物質に新型コロナウィルスが含まれているということは、全く別の現象です。
大気汚染はそれだけで死に至ることもあるほどに人体に悪影響を及ぼしますので、大気汚染下で暮らしている人々のコロナによる致死率が高くなるのはある意味当然です。しかし大気中の汚染物質にコロナウィルスが含まれていたということは、それとは全く次元の異なる現象です。
大気中からコロナウィルスが検出されたということは、その時点ではウィルスは生存していたことになりますが、アメリカのCDCと米2大学の共同研究によれば、新型コロナウィルスの体外での生存期間は以下のとおりだという。
【図解】新型コロナウイルスの生存期間 AFP 2020年3月20日
空中での生存期間は3時間だそうですが、この研究結果はおそらく、地上で感染を広めているコロナウィルスを調査したものだと思われます。Geoengineeringが報告した、大気中の汚染物質に含まれていたコロナウィルスも、地上のウィルスが大気中に移動したものなのかどうか。もし仮にウィルスが地上から大気中に移動したのであれば、移動するだけでも3時間以上はかかるのではないか。
それどころか、新型コロナウィルスの「飛沫は5マイクロメートル(1μm=1000nm)程度の大きさがあり、重みのせいで空気中を漂う間もなく落下してしまうため、空気感染ほどの感染力はないと言える。」(東洋経済オンライン・久住 英二 : ナビタスクリニック内科医師)
空気感染しないということは、ウィルスの重みが影響していたのかと、初めて知りましたが、これでは新型コロナウィルスが自力で大気中の汚染物質に潜り込むことはほぼ100%ありえないのではないか。
さらにウィルス生存には厳しい条件があります。新型コロナウィルスも含めてウィルスは宿主なしに単独では生存できないからです。にもかかわらず、大気中の汚染物質中から検出されたということは!?これは大きな謎です。一般的な大気中の汚染物質は大半は無機物ですが、新型コロナウィルスはプラスチックやステンレスのような無機物上でも数日生存していることが米国の研究機関で確認されていますので、増殖はできないものの、大気中の汚染物質はコロナウィルスの生存環境としてはそう悪くないのかもしれません。
問題は、コロナウィルスはいかにして大気中にまでたどり着いたのかということです。コロナウィルス単独では不可能なことは明々白々です。とするならば、ひょっとして人為的にウィルスを直接大気中に放出したのではないか。
参照:動物とヒトのコロナウイルス – 北里大学(非常に分かりやすい図解入り解説)
3.米が武漢のウィルス研究を支援
三つ目の事実、「米が武漢のウィルス研究を支援」については、前号「コロナがあぶり出す世界の構造」でも、中国の経済誌「財新」の記事を基に取り上げましたが、米中の連携がいつ頃だったのかは明記されていませんでした。しかし「Geoengineering Watch Global Alert News」では時期も支援機関・支援者の名も明記されています。
Google翻訳にて以下に2記事を転載します。Geoengineering Watchグローバルアラートニュース、2020年5月2日、#247 からの転載ですが、日が経つにつれ、新たな書き込みが次々と増えて、転載記事は一番下に追いやられていますが、間違いなく上記ニュースに記載されています。
新興疾患は研究室の創造物です。米国には、この惑星全体に25のバイオラボがあります。そして、200の高い「セキュリティBSL 3と4が全米に広がっています。フランシスボイル博士は、これらの高度なセキュリティラボの唯一の理由は病気を引き起こすことであると言います。
アメリカは地球上に25ものバイオラボがあり、高いセキュリティを要するBSL3-4という高レベルの感染症研究所が200もあるとは驚きです。日本では長崎大がBSL4施設の設置を推進中という段階です(長崎大学感染症共同研究拠点とは)。
ただ長崎大の新興感染症研究は非常に先進的であるのは前号でもご紹介したとおりですが、安田二朗教授(熱帯医学研究所 新興感染症学)が エボラにもエイズにもインフルエンザにも効く薬を開発中であることを安倍政権は知っていたのでしょうか。
*BSL(bio safety leve)とは、WHO実験室バイオセーフティ指針(第3版)に基づき、微生物・病原体をその危険度に応じて4段階(BSL1~BSL4)に分類したもの。BSL4がもっとも危険度が高い。
V.スーザンファーガソンさんの コメント:
2020年5月2日午後2時34分
「NEWSWEEK:
Fauci博士は、危険なコロナウイルス研究のために数百万ドルの物議を醸す武漢研究室を支援しました
2019年、NIAIDの支援を得て、国立衛生研究所は6年間で機能獲得型研究を含む研究に370万ドルを投入しました。このプログラムは、コウモリコロナウイルスを収集および研究するためのさらに370万ドルの5年間のプロジェクトに続き、2019年に終了し、総額は740万ドルになりました。
多くの科学者は、研究室でウイルスを操作して人間に感染する可能性を調査することを含む、機能獲得研究を批判しています。これは、偶発的な放出からパンデミックが発生するリスクを生み出すためです。」
NIAIDはアメリカ国立アレルギー・感染症研究所ですが、アメリカ合衆国の国立衛生学研究所を構成している27の研究所及びセンターの一つだとのこと。研究所一つとってみても、日本とは桁、桁違いの感あり。ともあれNIAIDはアメリカの国立の研究所です。そこから武漢のウィルス研究所に合計740万ドルもの資金が提供されたという。コロナウィルス研究、特にコウモリウィルスの機能獲得研究のために投じられたとのこと。
前号ではアメリカの国家的な関与が余り明確ではありませんでしたが、米中が共同でコロナウィルス、特にコウモリウィルスの機能獲得研究がなされていたことは疑いのない事実であったことが判明したわけです。機能獲得研究は前号でも触れましたが、人為的にウィルスの機能を拡張して、ウィルスの特性をより明確にし、感染拡大のありようなどを研究する手法だとのこと。
Google翻訳では文意不明のところがありますが、米国政府が武漢に740万ドルを投じて6年かけて続けられたコロナウィルスの米中共同研究は、昨年2019年に終了したということだと思われます。その終了直後にコロナウィルスが世界中に拡がったとは、余りにも出来すぎ、不自然すぎませんか。
また6年かけた共同研究が2019年に終了したとのことですので、この米中共同研究はオバマ政権時代に始まりトランプ政権下で終わったということになります。トランプ大統領は武漢で作られたウィルスだと中国非難を続けていますが、米中共同研究だったことをご存じないのでしょうか。
しかし、米中によるコウモリ由来のコロナウィルスの共同研究が、新型コロナウィルスの発生源となりえたのかといえば、必ずしもそうとも言えないように思います。ただ米中両国は、コロナウィルスの共同研究を基に、抗ウィルス薬の研究開発では激しくしのぎを削っていたことは確かなようです。
しかし新型コロナウィルスでは米国産の治療薬が使われることになりました。アメリカの製薬会社ギリアド・サイエンシズがエボラ出血熱の治療薬として開発したレムデシビルが、新型コロナウィルスでも有効だとして、米国のみならず日本をはじめ世界中で使われることになりました。
富士フィルム富山化学が開発したインフルエンザ治療薬アビガンも新型コロナにも有効だとのことで、安倍総理は同社に増産を依頼し、国内はもとより発展途上国にも無償で提供することを繰り返し表明していましたが、突如、この動きは止まりました。と同時に、アメリカ発のレムデシビルを緊急承認することが発表されました。
アビガンにもレムデシビルにも強い副作用があるとのことですので、副作用が理由で取捨選択がなされるはずはありません。海外への無償提供も受け入れ国が望めば問題はないはずですが、その動きも止まっています。ひょっとして、トランプ大統領が自国企業の商売の邪魔になるとして、圧力をかけたのではないか、と勘繰りたくなる不自然さです。
しかし米企業一社で世界中の需要を賄うのは物理的に不可能ですので、もしもトランプ大統領が圧力をかけてきてもほとんど無意味だと思われます。しかもレムデシビルの主要原料は日本の化学メーカー広栄化学工業が製造しているという。(広栄化学工業 コロナ薬原料を生産 アビガンやレムデシビル向け 化学工業日報 2020/4/30・・URLに日本語使用??!)
のみならず、アビガンの原料も同社で製造しているとのこと。日本は自動車や電子分野のみならず、化学分野でも「世界的危機に際し、ファインケミカル企業の底力を発揮する。」との同紙の指摘通りのようです。暗い日々を余儀なくされている中で、少しは元気をもらえそうなニュースです。ちなみに同社は過去最高益を更新中だとのこと。
なお中国は、米のレムデシベルは効果がないとの臨床結果を発表する一方、アビガン(ファビピラビル)は効果があったと発表しています。ただし、富士フィルムと特許契約を交わした中国企業が生産した「アビガン」です。しかも2019年には物質特許が切れ、ロイヤリティは払われぬまま、中国企業が後発医薬品として生産しているという。製造特許は継続中とのこと。(中国企業製造のファビピラビル、「COVID-19に有効」と中国科技部)
中国は製薬分野ではアメリカと対等に闘うレベルには至っておらず、特許切れゆえ違法ではないものの、日本産の薬でアメリカと対抗しようとしているのでしょうか。
なおPCR検査でも日本は世界最速かつ正確な以下のようなLAMP法という検査法を開発していますが、安倍政権はこの優れた検査法を積極的に活用する体制を整える意思は持っていないようです。これほど無残なことがあるでしょうか。
コロナを35分で判定、しかも高精度 長崎大などが開発 朝日新聞デジタル 2020年3月27日
なぜか西日本新聞にはこの記事はコロナ関連の紙面ではなく、経済面に一段組の小さな扱いで掲載していました。よほど注意しないと見落とすような扱いでした。西日本新聞が、PCR検査を拡大したくないという安倍政権の意向を忖度することなど100%ありえません。では誰を忖度したのか。おそらくPCR検査キットの超特需に沸いている韓国への配慮だったのでは?安倍政権もどんどんLAMP(PCR)検査を実施し、日本の技術のすばらしさを海外にもアピールして、コロナ禍での世界にも貢献できる輸出増進を図るべきだったのではないですか。
4.安倍政権の怠業と暴走
先日、久々に国会中継を聞いたのですが、PCR検査がなぜ広がらないのか、野党が厳しく追及していました。しかし政府からは明確な回答はなされぬままという、怪奇現象がつづいています。コロナ禍を長引かせ、政権延命を図っていると考える以外に、安倍政権ののらりくらり対応はありえないと思われます。
PCR縮小化策という政府の方針については、専門家会議は同意しているのでしょうか。その辺はよくは分かりませんが、専門家会議は内閣府直属ですので、安倍政権への忖度があるのかもしれません。
ネットで見たのですが、テレビに出演したお医者さんが、なぜPCR検査が進まないのか尋ねられて、理由は分からいと答えていたのを見てびっくりしました。専門家でも分からないというほど、PCR検査をめぐる状況は不透明で曖昧模糊としているということなのだと思います。これ一つとってみても、安倍政権には、早期にコロナ禍を収束させようという意思のないことは明白です。
日本にはまともなリーダーはいないのかという暗い気分に襲われる中、山梨大学の島田眞路学長の「山梨大学における新型コロナウィルス感染症(OVID-19)との闘い」と題したメッセージを読み、深い感動を覚えました。島田学長のお名前を知ったのは、次の記事によりますが、「PCR検査の少なさは日本の恥さらしか 世界の潮流はPCR検査体制の増強、アビガンも緊急承認を JBpress2020/5/5 筆坂秀世」
筆坂氏の記事に紹介されていた島田眞路学長の山梨大学「医療維新」でのメッセージ
山梨大学における新型コロナウィルス感染症(OVID-19)との闘い
には、お医者様でもある島田学長の医師としての使命、国立大学の学長としての使命を強く自覚した、危機に直面した際のリーダーのあるべき姿が単に理念としてではなく、明晰な言葉によって迅速な行動の記録として記されています。
山梨大学病院は感染症指定病院ではありませんが、武漢での爆発的感染拡大の事実を知るや、政府の指示を待たず、地域の拠点病院としてコロナ危機に対応すべく、迅速にコロナ対応体制を構築。コロナ対応に当たる医師や看護師には特別手当として時給1000円を支給することを決定。過酷な任務を担う人には相応の対価を払うべきであるのは当然ですが、危機下では無視されがち。血の通ったリーダーなればこその配慮です。
そもそも日本には、公衆衛生上の危機が発生した場合、医療対応を統括する組織が存在しないことが露わになりました。政府が設置する危機対応対策本部は大所高所から事態を論議して判断を下す場であり、実務的な作業に直接関与する場ではありません。コロナ対応に必要な基礎データの収集(感染者、死者等に関する詳細なデータ等)、医療現場に必要な様々な資材(PCR検査キット、マスクや防護服等)、コロナ対応可能な施設の把握(受け入れ可能な病院や院外施設やベッド数等の地区別データ等)、現役医師や看護師等の配置可能な人材のデータ等、の実際的で具体的な作業は臨時の専門家会議では対応不可能です。
非常事態宣言は総理の判断によるものだとはいえ、その判断の根拠となる様々なデータの収集や分析、事態に迅速に対応するための具体的な指示や物的、人的手配等は、CDCのような専門機関でなければ対応は不可能です。こうした専門機関があれば、PCR検査の遅れなどはなかったはずですが、もしそうであればコロナ終息も早まりますので、長引かせたい安倍政権にとっては都合の悪い結果になっていたはずです。どこで何がなされて、どのような経緯で事が進んでいるのかが全く分からない混沌とした現在の状況は、安倍政権にとっては非常に好都合なわけです。
その安倍政権の政策の中でも、不可解さが際立つアベノマスク。なぜ466億円もかけて全国民に配るのか。大量の不良品の発生。配布も遅延せざるをえず、緊急対応能力ゼロ。緊急ゆえになされた随意契約の意味もありません。伊藤忠などの輸入業は輸入元業者の責任を厳しく問うべき事態ですが、輸入業者自身の責任はさらに強く問われるべきだろうと思います。当然のことながら、緊急対応には全く役立たずのマスクの発注に、466億円も投じた政府の責任はさらに重大です。何のためのマスクなのか。我が家にはまだ届きませんが、次の論評を見ると、あらためてアベノマスクの愚かさに思い至ります。
内部留保・長期雇用は強み コロナ禍で「日本型経営」再評価 岩村充・早大大学院教授に聞く 日経Biz 2020/4/2 同記事より、アベノマスク言及部分を以下に引用します。
「大事なことは、医療現場を守ることだ。人口当たりの死亡率でみると、日本は欧米諸国に比べ極めて低い。イタリアの人口当たり死亡数は日本の100倍以上、新型コロナ対策に成功しているとされるドイツでも数十倍だ。日本の状況を何としても守りたい」
「国民へのマスク配布には約460億円かかったとされる。この予算で中堅ビジネスホテルに対し、陽性判定だが無症・軽症者向けの施設として1泊1万円で借り上げるとすれば、460万室分だ。2週間隔離するとして30万人を超える患者を収容できる。医療崩壊を避けるためには、この方がずっと賢いのではないだろうか」
しかしアベノマスクはただ愚かに税金を浪費しているだけではなく、460億円余の税金の大半はマスク以外に使われるのではないか、マスクを隠れ蓑にした使途不明金として支出されたのではないかとの疑惑も湧き上がってきます。
マスク配布費用総額は466億円、マスク調達費用が90億円、配達費用が128億円、合計218億円。布マスク2枚なら通常の郵便でも定形外の120円で送れるはず。世帯数は約5800万ですので、通常価格でも配達料(切手代)は、5800万×120円=69億6000万円、128億円⁻69億6000万円=58億4000万円。(配達費用の残り58億4000万円は封入作業代?それとも目的外流用?)
総額では、466億円-218億円=248億円。この残り248億円は何に使われるのでしょうか。資金管理をきちんとすれば、実際の残金はもっと多くなるはず。この問題は国会でも取り上げられたそうですが、聞いておりませんので詳細は不明。安倍政権の税金の私的流用については厳しく追及する一般マスコミも、この不可解な資金の流れについてはほとんど報道していませんので、不明です。
さらにアベノマスクでは、調達企業の選定も不透明だとの疑惑も明らかになっています。以下のリンクをご覧ください。政府調達資格のない脱税企業が、ベトナム産のマスク350万枚を4億円で受注し、すでに納品済み。不良品はゼロの良品だったとのこと。
福島の無名会社「アベノマスク4億円受注」の謎
脱税事件で執行猶予中の社長が取材に答えた
岩澤 倫彦 東洋経済オンライン 2020/04/30
さらに目下の安倍政権は、日本中の関心がコロナ禍に集中している隙を狙って、重大法案をいくつも成立させようとしています。
日本各地の病院の統廃合は容赦なく進めていく方針で、関連自治体や病院に指示を出しているという。国会で明らかになった事実ですが、コロナ対応で忙殺されているさ中にもかかわらず、よりによって病院の統廃合を指示しているとは!コロナで国民が苦しもうが死のうが、医療関係者が死のうがどうでもいいという安倍政権の本心露わ。
またコロナ発生以前には国会でも論議になり、マスコミでも報道されていた検察官の定年延長法案も衆議院に出されているという。法案成立前に、法的根拠のないままの解釈変更で強引に政権お気に入りの黒川東京高検検事にのみ特別に政権が認めた定年延長も撤回せずに、法案成立前から延長を続けるとのこと。事態に合わせて法律は後で作るということです。仮に検察に問題があったにせよ、法的根拠なしに時の政権が検察の人事に介入。日本は法治国家とはいえなくなりましたね。
「種苗法」改正法案もコロナ禍の混乱に乗じて、審議する時間もない中で人知れず成立しそうです。「種苗」をバイオ産業としてバックアップすることには意義なしとはいいませんが、日本企業のみならず欧米などのバイオ企業にのみ有利で、肝心の日本農業の保護や体力強化という最優先課題をおろそかにした形でのバイオ企業偏重策では、日本人の生存には不可欠の農業破壊につながる恐れあり。
柴咲コウの「種苗法」改正案への警鐘がもつ意味 拙速な国会審議問題だ
さらにはコロナ禍を利用して、緊急事態条項を憲法に書き込む改憲までぶち上げています。しかし安倍総理には、緊急事態改憲を主張する資格はないといわざるをえません。もっとも野党にもそんな資格はないわけですが。
なお新しく判明した三つの事実について、有機的関連性についてまでは十分には踏み込めませんでしたが、次号に回します。
10日間救急治療室で患者を診た医師の見解 2020.4.24 東洋経済オンライン(The New York Times)
マスク不足の中、手作りマスクが流行し、縫製会社なども様々な布マスクの販売を始めていますが、福岡県産品を代表する久留米絣のマスクはどうなのか、ネットを見ても見当たりません。そんな中、博多織の絹製のマスクを見つけました。ちょっとわたしには手は出ませんが、ご紹介します。福岡市内に日本各地の綿織物を販売するお店、MODERN KIMONOが開店していますね。見るだけで楽しいサイトです。絣ラボの更新まで手が回りませんので、こちらのサイトをご紹介させていただきます。