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葦の葉ブログ2nd」より転載
新型コロナの感染拡大を受け、安倍政権は、7都府県という地域限定の緊急事態宣言から、遅ればせながら全国に拡大しましたが、何か非常に中途半端な印象がします。緊急事態宣言とはいえ、諸外国のような住民の行動を罰則付きで規制する命令ではなく、あくまでも要請という形をとっていますし、自粛を要請する対象では東京都と国との間に見解の相違があり、少々もたついていましたしね。
この自粛要請対象業種をめぐっては、緊急事態宣言発出前よりかなり前からネットでは、パチンコ屋が対象には含まれていないことに対して多々疑問の声が上がっていましたが、緊急事態宣言発出後も国(安倍政権)はパチンコ屋は営業を続けてもよろしいとの方針であったらしい。対して、都は当然のことながらパチンコ屋も自粛対象に含んでおり、この点でも両者に齟齬があったようです。
最終的には都の方針どおりに自粛要請がなされることになり、福岡市など他の自治体でも都と同様の対応を取っていますが、国はなぜパチンコ屋には自粛要請をしないのか、不可解ですね。パチンコ屋は、3密の「密閉」「密集」「密接」のうち、各自パチンコ台の前に座っていますので「密接」度はやや低いとはいえ、「密閉」「密集」の店内で長時間座っていますので、ウイルス拡散の危険性はかなり高い。しかも常連客はヒマとお金のある高齢の年金受給者ではないのですか。政府はなぜはこれほど「不要不急」の外出を止めないのでしょうか。新型コロナ制圧に対する安倍政権の本気度が疑われます。
ひょっとして、パチンコ業界は安倍政権や自民党の強力な支持者なのですか。安倍総理の我田引水体質、支持者や自陣営への利益誘導は、支持者であったわたしのような者の目にも、そむけがたいほど顕著になっていますが、現下の緊急事態においてもその姿勢が貫徹されているのでしょうか。あるいはもっと別の理由があるのでしょうか。もしそうならば、その理由を国民の前に明らかにしていただきたい。(参照:なぜパチンコ店の行列は「放置」されるのか 政府と国会議員に聞いた AERA)
1.コロナ禍のEU
さて、前号ルートサーバーを死守せんとした米政府「3新型コロナをめぐる怪」についてコロナ問題に触れましたが、本号では、新型コロナによってあぶり出された世界の構造に焦点を当てることにします。
新型コロナは強力な国家権力を擁する一党独裁の中国と、各国の国家権力に制限を加え、弱体化させたEU各国に猛烈な勢いで感染が拡大しました。中国では4月8日、発祥地である武漢市の都市封鎖が2カ月半ぶりに解除されました。封鎖が解かれた以上、武漢での感染拡大は収まったのは事実だろうと思います。一方、中国と入れ替わるようにして感染が拡大し始めたEU各国と米国では、以下の最新情報が示すように感染拡大が止まりません。
【ワシントン時事】米ジョンズ・ホプキンス大システム科学工学センター(CSSE)が18日公表した集計によると、新型コロナウイルス感染による米国の死者約3万人、イタリア約2万3千人、スペイン約2万人。
全世界の感染者は224万人を超えた。うち米国が最多の70万人、欧州では約110万人、世界の感染者の半数近くを占める。(時事通信)
日本でも感染拡大が続いていますが、欧米での感染拡大は桁違い。そら恐ろしい数字ですが、連日報道される新型コロナ関連ニュースでは、EUという名を目にし、耳にする機会が激減、EUの影が非常に薄くなっています。
ある意味当然というべきか、新型コロナ発生という直接人命にかかわるような非常事態が発生した場合、実際に対応できるのは、グローバル化された半ば抽象的なEUのような組織ではなく、各国政府以外にはないということが、今回のコロナ禍であらためて浮き彫りになりました。
この過酷なコロナ感染に対応するためには巨額の資金が必要となりますが、EUではEU債を発行してその資金に充てる案が一時浮上しましたが、ドイツなどの反対で没。かといって、各国政府には国債を発行する権限はありませんので資金調達の目途が立たぬまま、EU各国ではコロナ禍に翻弄されているという状況ではないかと思われます。
EUでは各国政府の財政赤字が厳しく制限され、緊縮財政を余儀なくされていますので、裕福なドイツなどの一部の国を除き、イタリアなどの赤字体質の国では、医療関係予算も大幅にカットされているとのことです。そうした財政黒字至上主義的なEU体制も、今回のコロナ禍拡大に悪影響を及ぼしているのではないか。
ドイツは、自国内では対応できなくなったイタリアの感染者を受け入れたそうですが、それではイタリアの、あるいはEU各国の脆弱な統治能力の回復は未来永劫望めないでしょうね。EUは、各国政府の統治能力の脆弱化・弱体化を狙って発足したともいえますので、その目的はほぼ達成されていることを、今回のコロナ禍は証明したわけです。しかしそれはEUの強靭化として収斂されたのではなく、むしろEUの無力化を際立たせたようにも思われます。
コロナ禍の大激甚被害地であったイタリアには、中国から様々な感染対策物資が送られてきただけではなく、医師などの救援部隊まで派遣されているという。当初イタリアはEUに支援を要請しましたが、ドイツが感染者の一部を受け入れた以外、何の支援もなかったという。EU債も発行されず、EU全域に感染が拡大した中では、イタリア支援の余裕はなかったのでしょうが、EU域内に感染が一気に拡大したのも、EU各国には事実上主権はないに等しく、国境封鎖が遅れたことも原因の一つではなかったかと思われます。
その結果、イタリアでは、惜しみなく支援の手を差しのべてくれた中国に対する好感度が高まっているという。中国が下心なしに他国を支援することなどありえぬことはイタリア人も重々承知しているはずですが、窮地において差しのべられた救いの手には、すがりつかずにはいられないのも当然のことだと思われます。EUを離脱することはないにせよ、イタリアではEUよりも中国という風潮が強まる可能性もなきにしもあらず。
しかしこの異常な新型コロナの感染拡大に対しては、EUだけが無力なのではなく、世界一の超大国アメリカも全く無力です。アメリカは感染者数世界一を更新し続けてきただけではなく、ついに死者数もイタリアを超えて世界1位となりました。しかもアメリカでは、新型コロナによる死者の7割が黒人だという、根深い人種差別の実態もあらためて浮き彫りになっています。貧しいゆえに医療にかかれない。貧しいゆえに健康的な生活環境や健康体を維持することができず、ウィルスにも弱い。その貧しさは黒人差別などの人種差別に由来します。
2.コロナ禍と忖度政治
新型コロナは、EUでは国レベルでの経済格差を、アメリカでは根深い人種差別とそれに基づく経済格差を浮き彫りにしました。翻って日本ではどうか。日本は独立国家なので、赤字国債を発行して緊急事態に対応していますし、経済格差が広がっているとはいえ、アメリカのような極度な経済格差にまでは至っていません。莫大な赤字を抱えながらも、皆保険制度と基本的な社会保障制度は曲がりながらも維持されています。
新型コロナがどういう経路で日本や世界中に侵入したのかは不明ながら、いったん感染が拡大したならば、その国や地域の社会的な健康度によって感染拡大の勢いに強弱の差が出てくるのではないかと思われます。日本の感染者数(死亡者数)が少なすぎることへの疑念が国内外から繰り返し指摘されていますが、これは、その疑念への答えとなりうるのではないか。
日本ではPCR検査が世界標準からしても極度に少ないのは事実ですが、感染者が中国や欧米と比べて極度に少ないのも事実です。無症状者を別にして、感染したならば2週間後ぐらいにはいやでも症状が出ますので、隠すことはできません。今後は対応いかんによっては欧米並みに倍々で、あるいはネズミ算式に増えていく可能性もゼロではありませんが、少なくともこれまでは、PCR検査も極度に少なかったとはいえ、実際の感染者数も極度に少なかったのも事実です。
これは安倍政権の対応が適切だったからというよりも、すでに述べたように、病原菌の侵入に抗しうる日本の社会的健康度の高さによるものだと思います。一方、安倍政権の対応はむしろ不可解な点が多い。PCR検査でも、保健所以外でも検査可能にはしたものの、検査した結果、もし罹患が判明した場合、検査を実施した病院がその患者を受け入れなければならないという条件を付けたという。2,3日前、NHKラジオで報道していましたが、こんな異常な条件を付けたらどこも検査しませんよ。
事実、検査数は異常に低いまま。感染拡大防止では、感染域と非感染域とを厳格に分けることは基本の「キ」ですが、その基本すらわきまえない条件を付しています。もしもこの条件どおりに検査を実施したならば、あっという間に医療崩壊に至るだけです。
検査数が少なすぎるとの国内外の批判を受けて、保健所以外でも検査は可能にはしたものの、これは見かけだけで、実際には保健所以外では検査ができない条件を付けていたわけです。わたしはこの事実を知って唖然とするとともに、安倍政権に対する不信が増大しました。余りにも異常ではないですか。
ちなみに、日本の検査数の少なさを心配したのか、2月14日には、中国から日本に検査キットが送られています。(海外からの新型コロナウイルス検査に要する試薬等の提供がありました 国立感染症研究所(NIID)【中華人民共和国】)しかしその甲斐もなく、検査数は低いまま。そもそも日本政府には、検査数を増やす意思がなかったわけです。その証拠となるような、PCR検査ができない、何か不可解な次のような事例も報告されています。PCR検査できず、290件 医師が必要と判断も―日医調べ 時事ドットコム 2020年03月18日
未検査で危惧されるのは無症状の感染者が感染を拡大させることですが、この無症状の感染者を発見するには検査体制の拡充以外にはありません。しかし安倍政権は意図的に事実上保健所以外では検査ができない体制を維持しています。なぜここまで検査を抑止するのか。
これほどの検査抑制にまで至ると、感染者が急増して医療崩壊するのを予防するためだとの説明も通用しませんね。検査妨害そのものに目的があるとしか思えません。無症状者を放置して、感染拡大を促進させようとしているのではないかとさえ思えてきます。感染拡大が続いている間は、国会での野党からの追求が避けられるからか。3.11時の菅直人総理による意図的な被害拡大を狙った策謀が思い出されますが、ひょっとして安倍総理も似たようなことを考えているのでしょうか。
安倍政権が非常事態宣言措置法成立に異常に固執しつづけたのも、コロナ対策の遅れをカモフラージュするためだったのでしょうか。ともあれ、措置法はやっとこさ成立しましたが、いざ非常事態宣言が出された今になって分かったことは、宣言発出前も後もほとんど変わりがないということです。いったい何のため措置法成立にあれほどこだわったのか。単に「新型コロナ」という言葉を付け加えただけだったのか。「非常事態」という言葉の意味は何だったのか。政府の曖昧きわまりない対応には呆れ果てて言葉もありません。
こうした日本の状況について、4月6日の西日本新聞「提論ー明日へ『新型コロナと国家』」で姜尚中氏が次のように評しています。
国家を担うパワーエリートが自らの出処進退、責任を懸けて強制力を伴う非常権限を行使することに尻込みし、他方で「お願い」「要請」という形での「忖度政治」を押し付けている。あいまいな対応を見るにつけ、無責任体制のまま、事態がずるずるとより深刻化していくことにならないか、懸念は尽きない。
「忖度」という言葉は、官僚による安倍政権に対する気遣い、配慮という意味で散々使われてきましたが、その安倍政権の目下の非常時対応にもピッタリ当てはまるのだとの指摘に驚くとともに、なるほどと大納得。「忖度」の根本義は、明示せずに相手に然るべき対応、配慮を促すということですが、明示すると責任の所在も明確になりますので、責任の所在を曖昧にしたい場合は「忖度」「そんたく」。なるほどねえとあらためて納得。
責任の所在を曖昧にした「無責任体制のまま、事態がずるずるとより深刻化していくことにならないか」という姜氏の懸念は日本国民の多くが共有しているところだと思いますが、安倍総理はそうした国民の懸念は無視して、より明示的な感染拡大阻止対策に踏み出そうとしている小池都知事とのバトルを再開したという。
感染拡大を短期のうちに収束させた方が経済復興も早いというのは子供にも分かる道理ですが、安倍政権は、短期収束策に伴う激烈なリアクションを恐れているのか、あるいは、ずるずると引き延ばして感染拡大をより深刻化させたいと考えているのか、どちらなのででしょうか。
なお姜尚中氏は、上記「提論」では、一党独裁の中国型国家とドイツ型の国家とを対比して、ドイツ型国家を目指すべき国家モデルとして推奨していますが、現在のドイツは、EUとは切り離しては全く意味をもたず、存在しないにも等しいはず。EUに君臨するドイツはEU体制の最大の利益享受国ですが、その反動を被っている国々もEUには存在することも事実です。しかし姜尚中氏はEUについては全く言及していません。この点に関しては、疑義を感じておりますことを一言付記させていただきます。
参照:鈴木直道・北海道知事が怒りの緊急警告「このままでは最悪の“第3波”が日本を襲う」
参照:新型コロナ: 日本が韓国に大敗北する日(全国民に向けて、余り金をかけず、かつ迅速にマスクを配布する方法も参考になりますね。日本は466億円もかけて、感染防止に余り役立たない布マスクを各戸ごとに直接配布)
3.コロナ禍と中国
ところで、日本の曖昧な対応の対極にあるのが中国ですが、有無をいわさぬ強権を発動したから短期のうちに収束できたのだというのが一般的な見方です。基本的にはまさにそのとおりだと思います。外国人記者の取材も拒否、実際にどういう対応がなされていたのか、非常に不透明であることは事実です。
しかしつい最近、中国にも精力的にその実態を報道している独立系メディアが存在していることを知ったばかりで驚いています。「財新週刊」(「財新」)というWEBメディアですが、「東洋経済」が提携して発信しており、新型コロナ関連では、「疫病都市 武漢発新型肺炎レポート」という大型連載記事も掲載されています。
この中国に焦点を当てた「3」では、別の角度からブログを書き、12日に一旦公開しました。しかし、我ながら何かしっくりしない記事だとの思いが強くなり、間もなく非公開にしました。この間、ご覧になられた方もおられるかもしれませんが、申し訳ございません。数日思案していたところ、上記の中国の独立系メディア「財新」を発見。
読み出したところ、新型コロナや中国でのコロナ対応などに関するこれまで目にしたことのないレポートが満載。いずれも長文のものが多い上に、専門用語などを調べながら読んでおりましたので、読むだけでもかなりの時間がかかりました。その上、ご紹介したい記事などを保存しようとしたところ、保存が勝手に消えてしまうという不可解な障害が多発。この障害対応だけで数日を費やした感じです。
障害が多発するということは、危険な記事だとの指標にもなるわけですが、誰にとって危険なのか。それが問題ですが、誰なのかについてはわたしにも不明で、今ここでは即答しかねます。しかし「財新」の記事をお読みいただくと、誰にとって危険なのかも徐々に分かってくるのではないかと思います。わたしも「誰」が誰であるのか、その正体追跡をかねてこの「3」を書くことにいたします。
現在8回まで連載されている「財新」の「疫病都市 武漢発新型肺炎レポート」では、実際に患者を診察している医療現場の医師たちに対する徹底取材がなされた記事が収録されており、非常に迫真的な内容に驚かされています。中国では、厳しい言論統制がなされているとの印象が圧倒的であっただけに、これほどの現場取材が可能であったのかという驚きがまず一点。
加えて、昨年12月の半ば過ぎぐらいから新型コロナウィルスの患者が発生したことも紹介されています。専門機関ではすぐさま遺伝子解析がなされ、これまで見たこともない新種のウィルスによる肺炎であることが特定され、医師も含めた専門家の間では衝撃が走りました。そして専門家の間では、特別の感染予防対策の必要性が即座に共有されたという。
中国では中央政府にはもとより地方政府にもCDCが設置されているそうですが、CDCという機関に依存した体制ではなく、現場の医師も含めた様々な立場の専門家が一種のネットワークを形成して、新種の疫病の正体解明に即座に動いたとの印象を受け、正直驚きました。こうした動きは、中国の医療水準の高さを意味しているだけではなく、現場は、ある意味、日本以上に自由があるのではないかとの印象を受けたのが二つ目の驚きです。
ただ最大の問題は、中国では専門家の知見は、政治的判断の前では無力だということです。「財新」は習近平指導部への直接的な批判は回避しつつも、政治的圧力のあったことも隠さずにレポートしています。しかし報道記事の基本「1H5W」に従ったレポートゆえ、専門家の間では12月半ば過ぎ頃から新種の感染力の強い肺炎患者が発生している事実が把握され、武漢市当局にも報告されていたにもかかわらず対応が遅れたのは、最終的には習近平指導部にあることが伝わってくる内容になっています。
さらに驚いたのは、連載記事の枠外で「財新」特約記事として紹介されている、新型コロナの遺伝子解析関連記事の水準の高さです。
(1)新型コロナウイルス「生物兵器論」は本当なのか 専門家見解「人工で製造することは不可能」
https://toyokeizai.net/articles/-/329766 財新編集部 2020/02/12
(2)「新型コロナウィルス」は一体どこから来たのか 最新の研究では「昨年9~12月の発生」を示唆 財新編集部 2020/03/03 5:30
(1)は新型コロナは武漢にあるウィルス研究所で作られた生物兵器ではないかとの疑惑について、ウィルス研究所の女性副所長(ウィルスを作ったのではないかとの疑惑を向けられている人物でもあるらしい)をはじめ、欧米の専門家の見解も踏まえてまとめられたかなり長いレポートです。結論は新型コロナの遺伝子には人工的に操作された痕跡は存在せず、自然由来のウィルスであるというのが、中国の専門家のみならず欧米の専門家の一致した見解だという。
このレポートには、アメリカの大学や研究機関に勤める中国人の専門家が何人も登場してくるのには驚かされました。アメリカでは、IT関係には中国人が多数進出していることはよく知られていますが、医療関係にも多数進出しているとのこと。中国憎しのトランプ大統領とはいえ、専門機関の中国人まで追放はできないでしょう。
さらに驚いたのは、以前、中国とアメリカの専門家が共同で、コウモリなどの自然由来ウィルスが人間にどのような影響を及ぼすのかについて研究していたことです。しかもその影響を調べるために、人為的に工作を加えて実験も行っていたという。武漢ウィルス研究所の疑惑の主の女性研究員も、この研究に携わっていたという。さらには、アメリカでも賛否両論ある中で、コウモリを使ったウィルス研究が行われていたという。
トランプ大統領は、武漢ウィルス研究所で作られた中国で作られたコウモリ由来のウィルスが原因だとの中国批判を展開しています。しかし政府の直接的な関与の度合いには違いはあれ、米中双方でコウモリを使ったウィルス研究を続けきたのではないのですか。ウィルスから人々を守るためにという大義名分のもとに。
漏出、拡散が意図的なものだったのか否かは別にして、おそらく米中合作の新型肺炎ウィルスだったというのが正解なんじゃないですか。米中2大国で分担してコロナウィルスを世界中に拡散させた責任をとっていただきたと言いたいところですが、そうはすんなりとは結論には達しないようです。
ではどうなのかと論を展開する前に(2)のレポートにも触れておきたい。これはタイトルどおり、新型コロナの由来を調べたものですが、遺伝子解析を重ね、遺伝子の時間変異を追った研究を紹介しています。この記事が公開された3月3日の時点では、コロナウィルスには遺伝子変異は発生していないという非常に興味深い結果が紹介されています。
2020/03/03 5:30
新型コロナはまだ変異を起こしていない
目下、新型コロナウイルスはまだ明らかな変異を起こしていない。呼吸疾病国家重点実験室の副主任・趙金存氏はウイルスの変異に関する研究状況についての説明を行った際、「現在新型コロナウイルスの3万以上の塩基中、突然変異が確認されたのは5つの塩基にとどまり、3万という数字から考えればごく一部を占めるのみである」と表明した。
また中国予防医学会新型コロナウイルス肺炎予防専門家組織は最近、『中華流行病学雑誌』の記事で「ウイルスサンプル間の全長遺伝子配列はほぼ完全に同じで、新型コロナウイルスはまだ明らかな変異を起こしていない」と発表している。
その一方で、以下のようなレポートもあります。
新型コロナウイルスはこうして広がっている、遺伝子技術で判明 NATIONAL GEOGROPHIC 2020/3/31
アメリカの専門家ベッド・フォード氏がアメリカのコロナ感染者の遺伝子を解析した図像入りのレポートです。2月から3月にかけて、感染者20人の遺伝子解析をした結果、アメリカではコロナウィルスは15日ごとに変異を繰り返しているとのことですが、ほとんど変異していないという中国のコロナウィルスと同じものなのかどうか素朴な疑問を感じます。ベッド・フォード氏はなぜ、発症国中国の遺伝子解析結果とも照合しなかったのでしょうか。
なお日本の国立感染症研究所(NIID)では、1月9日にすでに、中国に対して新型コロナウィルスに関する情報提供を依頼しており、1月12日にはWHOが主催するウィルスの検査法に関する電話会議が開催され、NIIDも参加したという。WHOは少なくとも1月12日より前には、新型肺炎発生の事実を把握していたことになります。時系列の動きは以下の通り。(新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)PCR検査法の開発と支援の状況についてより)
【経緯】
71月9日 中国疾病対策センター(CCDC)へ本感染症に関する情報提供を依頼した(病原体の特徴、流行の状況、患者の症状など)。
1月10日 本感染症の原因と考えられる新型コロナウイルス(SARS-nCoV-2)の遺伝子配列が公表されたため、直ちにウイルス遺伝子検査系の開発に着手した。
1月12日 世界保健機構(WHO)が主催する電話会議に参加し、検査法に関する情報を収集した。
1月14日 プロトタイプのPCR検査法で国内症例の検査を開始した。
1月20日 新型コロナウイルスを高感度に検出するためのコンベンショナルPCR検査法の開発を完了した。
1月22日 全国約80箇所の地方衛生研究所へ検査用プライマーをプロトコールとともに発送した。
1月23日 厚労省から自治体に検査協力を依頼する事務連絡が発出され、中国の春節開始直前には新型コロナウイルスの行政検査が可 能になった。
1月24日 新型コロナウイルス検査用のリアルタイムPCR検査法の開発を完了した。
1月29日 地方公共団体の衛生研究所、検疫所にリアルタイムPCRに必要な試薬を発送した。これにより、本感染症に対する公衆衛生対策のための検査体制が整備された。
1月30日 ウイルスの分離に成功した。
1月31日 分離に成功したウイルスを検査法開発のために広く分与すること、感染研が開発した培養細胞株がSARS-CoV-2分離に大きな効果を示すことを公表した。
2月5日 開発した検査法の内容を地方衛生研究所以外にも広く情報提供するために、「新型コロナウイルス病原体検出マニュアル 2019-nCoV」を本所のウェブサイトに公表した。
2月13日 WHOからも情報提供がなされていたロシュ社製のプライマー・プローブセットを使用した方法と本所で開発した方法との相互検証を行い、ロシュ社製プライマー・プローブセットの推奨利用方法と、その方法を用いた場合には両検査法の検出感度が同等であることを公表(病原体検出マニュアル 2019-nCoVに追加記載)した。また、民間の検査機関での検査実施に向け協力を必要 開始した。
上記の経緯を見ると、中国でも政府が正式にコロナ感染を公表する前から、専門家レベルでは感染症発生の事実を認め関連情報を発出していたことが分かります。しかし中国政府は、この重大な事実の公表を20日以上も遅らせていたわけです。WHOのペドロス事務総長もこの事実の公表を意図的に遅らせました。中国政府とWHOの責任は重大です。
実はNIIDはウィルスの分離に成功しており、遺伝子解析の結果も公表しています。専門家向けなので素人にはよく分かりませんが、以下に一部引用します。
新型コロナ6ウイルス:国立感染症研究所が開発した細胞で分離に成功 2020・1・31」
「細胞上清中のウイルスゲノムを抽出して、ほぼ全長のウイルスゲノムの配列を確定しました。これは、最初に発表されたウイルスの遺伝子配列と99.9%の相同性がありました。
分離したウイルスを用いて、ウイルス感染機構及び病原性の解析、ウイルス検査法・抗ウイルス薬・ワクチンなどの開発を進める予定です。また、新型コロナウイルス対策に役立てるため、ウイルスと細胞は国内外に広く配布する予定です。
日本のNIIDによる遺伝子解析でも、ほぼ一月間遺伝子変異が見られないとの結果が出ています。ただNIIDサイトには、上記公表の1月31日以降は遺伝子解析結果の公表はありません。余りにも不可解。
ウィルスが中国発ということであれば、科学的にその証拠を示すべきですが、トランプ政権はその証拠も示さずに、ただ中国非難を繰り返すばかり。これでは、コロナ対策にとってはマイナスでしかありません。
そもそもトランプ大統領は、2018年にCDCの予算を大幅に削減し、国家安全保障会議の感染症対策チームを解散させたのではありませんか。しかしこの重大事実については、欧米でも主要メディアでは余り大々的には報じていませんが、この失政がアメリカでの異常なまでのコロナ感染拡大の最大の要因だと想われます。
トランプ大統領はこの事実を隠蔽するために、中国批判を繰り返し、人々の怒りを中国に向けようとしているのではありませんか。コロナ発生の原因を冷静かつ科学的に分析しなければ、コロナ制圧は難しい。そして何よりも世界中の人々は真実を知りたいと願っているはずです。
ところで毎度のことながらブログ作成に妨害が入り、パソコンがフリーズし放し。ワンクリックするのにも、一文字入力するのにも、かなりの時間がかかります。そしてついに、入力不可状態に。今回のフリーズは、もうブログを書くのを止めようかと思うほどのひどさです。しかし諦めずiPadで書き始めたのですが、障害なく入力はできるのものの作業効率は悪く、「3」の書き直しだけに異常なほどの時間がかかっています。
ところが、なぜか急にPCの調子が戻りました。しかしそれもつかの間。またもやフリーズ。
必読!(告発後コロナで死去した話題の医師への取材記事) 新型肺炎を武漢で真っ先に告発した医師の悲運 12月に警告も、当局から処罰され本人も感染
https://toyokeizai.net/articles/-/329129 財新編集部 2020/02/07 5:00
4.称賛を浴びる韓国のコロナ対策
今回のコロナ対策においては、1万人規模の感染者を出しながらも、韓国ほど段取りよく、手際よくコロナ対策を進めた国は他に例はありません。欧米からは称賛の嵐。韓国で昨日(4/16)実施された総選挙では、不評のどん底にあった文政権は、見事なコロナ対策の功により圧勝しました。文政権にとっては内心、コロナ様々でしょうね。
しかしまことに失礼な言い方かもしれませんが、韓国のコロナ対策は、事前に新型コロナの発生を予想していたかのような手際のよさでしたね。コロナの感染が始まるや、一気にPCR検査を実施。検査数はあっという間に30数万人にも達し、やがて40数万をも超え、現在では50万を超えています。
日本では意図的にPCR検査をさせないという方針ゆえに韓国の数十分の一ですので、日本との比較は無意味ですが、客観的に見た場合、余りの見事さに感心すると同時に、かすかに不可解さをも感じてしまいます。目下の韓国には世界中から検査キットの注文が殺到しているという。(中断)
障害が続く中では中断せざるをえません。12日に一旦公開したブログでは全く障害は発生しなかったのですが、後半の書き直しは障害続き。やむなくここで公開します。
以下のリンクにある長崎大学の安田二朗教授は、今回のようなウィルス研究のプロ中のプロのような方ですが、どこにも登場しません。今回は触れることができませんでしたが、お名前とお仕事の一端を以下にご紹介します。
長崎大学 熱帯医学研究所 新興感染症学 安田二朗
なお、関東、東北地方が暴風雨に襲われています。コロナだけでは致命的なダメージをはならない日本に対する攻撃の可能性もあり。避難所ではくれぐれもご注意を。
なお、前号ルートサーバーを死守せんとした米政府では、全47都道府県の神楽のご紹介を達成したと書いておりましたが、6県抜けておりました。最後に追加しております。