「葦の葉ブログ2nd」より転載
初めに、今回も本文とは関係のないお祭りの写真を掲載します。お盆の頃に行われたお祭りです。この時期、日本中が台風や豪雨に襲われ、中止されたお祭りも多かったと思いますので、実施されていたはずのお祭りの写真も含みます。
では、本題です。韓国政府が日本に対し、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告。日本ではこのニュースが衝撃的に報じられていますが、軍事的な意味では、GSOMIA(ジーソミア)の破棄は日本の安全保障にとってはほとんど影響はないという。8月23日の西日本新聞に、自衛隊元海将で金沢工業大学虎ノ門大学院教授の伊藤俊幸氏の談話が掲載されていましたが、伊藤氏によれば、そもそもGSOMIAは、高度な情報を入手したいという韓国側の要請により締結されたものだという。
朝鮮半島を含む東アジアの軍事機密情報の大半は米軍が握っているが、GSOMIA締結前は、韓国側から日本の自衛隊に対して、ひそかに情報提供を求めてくることもあったという。締結後は、情報交換の場となる日韓防衛担当者会議などが開催されていたが、韓国側からは機密情報が提供されたことは皆無で、韓国に対しては、機密情報漏れを防ぐ対策を要請する場になっていたという。
という実状からするならば、韓国によるGSOMIA破棄は日本の安全保障にとってはほとんど影響はなく、むしろ韓国にとってマイナスになる決定だということです。24日の西日本新聞に、この決定に対する韓国紙の報道が紹介されていましたが、左派系新聞は大歓迎。一方、右派・保守系新聞では、GSOMIA破棄に反対した国防省高官の、「GSOMIA破棄によって軍事機密情報の入手が困難になる」と懸念する談話が紹介されていました。
ただGSOMIAは、日米韓の連携を象徴するという意味では、アメリカの極東軍事戦略には多少は貢献していたとも思われますが、その裏で展開されてきた韓国と北朝鮮とのマッチポンプ的連携を隠蔽する役割をも担ってきたことも紛れもない事実です。この両者のマッチポンプ的連携が白日の下にさらされるならば、表面的に維持されてきた日米韓の連携は瞬時に破壊されてしまうからです。しかし日米韓の連携を表面的に繕う必要もなくなった今こそ、韓国と北朝鮮のマッチポンプ的連携を、徹底的に明らかにすべきではないでしょうか。
なお、マッチポンプとは、自分で火を付けて起こした火事を自分で消して、自分で自らの手柄をアピールするという意味ですが、韓国と北朝鮮は両者の隠された連係プレーで、その時々にそれぞれの手柄や存在をアピールすることを、彼ら自らが演出しているという意味合いになります。
北朝鮮の危険をさんざん訴えながら、陰でその北朝鮮をひそかに支援してきた韓国のマッチポンプぶりを証明する事例としては、日本はじめ世界各国の安全保障を脅かしかねない韓国企業による大量破壊兵器転用物質の不正輸出について、当サイト(7/5 貿易規制騒動 7/14 韓国の不正輸出を問う)でもすでにご紹介しておりますが、あらためてそのリストを、再掲します。
2015年から2019年3月の間に韓国国内で摘発された事件・計156件の内訳
NSG (核兵器製造・開発・使用に利用可能な物品を統制する多者間国際体制) → 29件
AG (生化学武器製造・開発・使用に利用可能な物品を統制する多者間国際体制) → 70件
MTCR (ミサイル製造・開発・使用に利用可能な物品を統制する多者間国際体制) → 2件
CWC(化学兵器禁止条約)→1件
WA (通常兵器製造・開発・使用に利用可能な物品を統制する多者間国際体制) →53件
(専門家が見た韓国不正輸出リストの問題点……韓国政府は悪質企業名の公表を 古川勝久氏 7/12より)
韓国には、核兵器や化学兵器や生物兵器などの関連資材を日常的に製造している企業が多数存在しているという事実そのものにも驚愕しますが、韓国政府はそれらの企業に対し、実効性のある規制は全く行っておらず、事実上公認しているという事実には、驚愕を通り越して恐怖すら感じます。しかもこの事実を認識していながら、韓国でも日本でも世界でも国連でも、その不法行為に対する非難はほぼ皆無に近い。余りにも不可解で不気味です。韓国人は、自国の企業が大量破壊兵器による殺人に関与して儲けていることには、全く罪悪感は感じていないらしい。
しかし韓国の不正輸出は、これだけではありません。さらに深刻な事例も出現しています。韓国軍が米軍から供与された弾道ミサイルのそっくりさんが、北朝鮮でも使われているという衝撃的な事実までが判明しております。8月10日のミサイル発射後の11日に、北朝鮮は新型ミサイルを開発したとして、韓国に供与された米軍製のミサイルとそっくりのミサイルの写真を、堂々と公開しているという。
驚愕、韓国が北朝鮮に弾道ミサイル供与か JBPress
元自衛隊幹部の西村金一氏の記事ですが、掲載された写真を見ると、素人にも瞬時に両者が瓜二つであることが分かります。韓国は当然のことながらこの事実を公表していませんが、西村氏は韓国か北朝鮮かのどちらかがウソをついていると指摘しています。北朝鮮がもしウソをついていたならば、米韓の離反を狙ってのことだとのことですが、これほど見え透いたウソが通用するとも思えません。おそらく事実だと思われます。
トランプ大統領から求愛を受けているとはいえ、金委員長も、ウソの写真を公表してアメリカを怒らせたり、アメリカを翻弄しようとまでは考えないはず。韓国を経由してなされた、北朝鮮に対する米軍産の高性能なミサイル供与は、事実なのだろうと思われます。北朝鮮がこの写真を公開したのは、このミサイル供与がトランプ政権黙認のもとでなされたことと、韓国との密接なマッチポンプ的連携を国内外にアピールすることを狙ったものではないか。
トランプ大統領も、北朝鮮による8月のミサイル発射(おそらく5月の発射も)は、米軍製のミサイルによるものであることを知らないはずはありません。にもかかわらず、トランプ大統領は、北のミサイル発射は短距離なので全く問題はないと黙認どころか公認してさえいます。トランプ政権の公認なしに、北朝鮮が米軍製のミサイル使用の事実を堂々と公開するはずはありません。
なぜトランプ大統領は、米軍のミサイルを北朝鮮に供与することを認めているのか。いくらトランプ大統領が金委員長にラブラブ感情を抱いており、国交回復という歴史的偉業とまではいえないにしても、政治的業績を残したいと熱望していたとしても、世界に類のない独裁者金委員長に米軍製ミサイルまでプレゼントするとは思えません。日本にとっては脅威でしかないこの破壊的なプレゼントは、いかなる狙いによるものなのか。これは簡単には解きがたい、大きな謎だといえます。
わたしの直感では、この謎は、おそらく米中貿易戦争とも密接に関連しているはずです。しかし直感といえども、直感なりの根拠はあります。米中貿易戦争が当事国及び周辺国にもたらしている結果が、わたしの直感の源泉ですが、その最たる例が、ファーウェイを頂点にした中国のIT企業とサムスンを頂点にした韓国のIT企業の関係です。
韓国経済が中国への輸出に大きく依存していることはよく知られている事実ですが、その依存度は想像以上に大きいことが、米中貿易戦争勃発で明らかになりました。昨年、トランプ政権はカナダ政府を介した、ファーウェイの副社長逮捕という衝撃的な手法でファーウェイの米国市場のみならず世界市場からの追放へと動き出しました。米国政府、米国企業のみならず、日本やEUなど、世界の主要国に対してもファーウェイの追放を要請しました。この要請に従わなければ、自らが米国市場から追放されることになるので、日本にとってもEUにとっても、この要請は強力な罰則付きの命令そのものです。
日本の安倍政権はすぐさまこの命令に従うことを表明しましたが、韓国政府は民間企業の活動に政府は介入できないとして、米国のこの命令を事実上無視しました。のみならず、その後、韓国の国会議員と企業関係者は100人もの大規模な使節団を中国に派遣して、韓国の半導体を使ってほしいと陳情までしています。韓国企業にとっては、こうした親中国対応の結果、たとえ25%の報復関税をかけられても、中国への半導体輸出が禁じられる打撃の方がはるかに大きいので、アメリカの要請には従わないということらしい。以上は韓国紙の報道を基にした状況解説ですが、生き延びるためには、米国の命令も無視するというのが韓国の本音であり、基本姿勢です。
一方、中国側も、トランプ大統領によっていくら世界的孤立へと追いやられているとはいえ、韓国によるこの要請を無条件で受け入れるはずはありません。当然、交換条件が提示されたはずですが、ファーウェイ製品の使用は、中国側からあらためて要請されずとも、米中貿易戦争勃発前からすでにファーウェイの5G関連技術や関連設備を導入済みの韓国にとっては、ファーウェイの追放という選択肢はありえなかったはずです。
4Gまでの通信規格に基づく技術や設備も全てファーウェイ製だという韓国にとっては、ファーウェイを追放したら、韓国社会そのものが成り立たないというほどに、対中密着度が非常に高い。韓国のこの対中密着度はどの政権になろうとも変わりはありません。保守系の前朴政権は、現文政権以上に、露骨に対中べったりの朝貢外交に励んでいたことは、まだ記憶に新しいところ。
しかしトランプ政権は、いわば掟破りともいうべき韓国の対中密着策に対しては、25%の報復関税をかけていません。もしも報復関税が発動されたならば大ニュースになるはずですが、その種のニュースはゼロ。トランプ政権は、韓国の掟破りを黙認ないしは公認しているわけです。米国の韓国に対するこの寛大さは、報復関税を全く恐れていない韓国に対しては、報復関税をかけても意味はないと考えているからなのか、あるいは別の目論見によるものなのか。
中国にとっても、名を捨て実を取る戦法で、韓国企業を使って実質的には中国製である製品を世界中に輸出する方針を、やむを得ざる選択として採用したものと思われます。トランプ政権も、韓国企業を介して、中国製品が世界中に輸出されることになるであろうことは当然想定しているはずです。その際、トランプ大統領の方針に従わざるをえないアメリカのアップルは、サムスンなどの韓国企業よりも不利になることは明白すぎる事実ですし、世界の主要市場から中国製品が追放された現在、韓国製品の世界シェアがほぼ独占的に拡大するであろうことも十分に予想されるところです。
トランプ大統領が、こうした見通しを持っていないはずはありません。むしろトランプ大統領はその成り行きを誘導しようとして、米中貿易戦争を展開しているのではないかとさえ思われます。80年代から90年代初めにかけて、日米半導体戦争が勃発し、日本の半導体は10年近くの間、アメリカへの輸出が事実上禁止されていました。その間、日韓政府間交渉の結果、韓国企業は無償で日本の半導体技術の供与を受けることになり、韓国企業は鬼(日本)のいぬ間に、世界の半導体市場をほぼ独占するに至りました。
現在、5G分野をめぐって似たような光景が反復されているわけです。いずれも韓国企業による市場の独占という、韓国にとっては無上の結果がもたらされます。ただ日本の場合は、無償提供した技術による韓国での半導体製造は、当然のことながら全て日本仕様。今回の輸出規制でも明らかになったように、韓国企業は、装置や部品や素材などはほぼ全て日本からの輸入品を使用していますが、肝心かなめの技術は無償供与でしたので、市場を全て韓国に奪われた上に、技術使用に関する対価はゼロでした。しかも韓国の言いなりになってきた歴代政権の無能ぶりは、韓国による日本非難までをも助長させる結果をももたらしました。韓国に対して、一方的に与えるだけの日本の政治家の無能、無責任ぶりは万死に値するはずです。
では、5G関連分野(通信や製品)での韓国企業の独占を目論むトランプ大統領の狙いは何か。狙いその一、韓国企業株主の利益の最大化。トランプ大統領も隠れ株主の一人かも。これはあくまでも想像ですが。狙いその二、韓国企業による中国企業乗っ取りとまではいかないものの、中国企業への韓国人による浸食行動の促進。半導体では、日本の政治家のの無能ぶりもあり、事実上韓国企業に乗っ取られたも同然の状態になりましたが、中国では、韓国以外に提携する相手がいなくなるという状況を強引に作ることで、中国企業にとっては不本意ながらも韓国企業と連携せざるを得ないという状況に追い込み、韓国人による中国企業への浸食を容易にし、機密情報等の入手をも可能にする。
つまりトランプ大統領は、米国による中国攻略の先兵として韓国を利用しようとしているのではないか。これは十分にありうる推測ではないかと思われますが、韓国は状況次第では平然と立場を変え、変心しますし、中国と手を組んで世界制覇すら目論見かねない国ですので、韓国がこうした役回りに甘んじているかどうかは不明。
ここで再び、北朝鮮に対するミサイル供与問題に戻ります。米軍製の短距離弾道ミサイルが、米国政府の黙認ないしは公認のもと北朝鮮に供与されたばかりか、北によって繰り返しなされる同ミサイルを使ったミサイル連射も公認されているという、想像を絶するような異常事態が、今目前にあります。米軍のミサイルが米軍公認のもと、韓国軍を介して北朝鮮に持ち込まれ、配備されたともいえるわけですが、これはおそらく中国にとっても警戒を要する異常事態ではないかと思います。
日本の防衛省ならびに政府もこの異常事態を把握していないはずはありませんが、トランプ政権が黙認ないしは公認している以上、日本政府としては、公の場では問題にはできないのだろうと思います。GSOMIAの解消も、韓国にとっては、この不都合な事実を日本側から問いただされるのを避けたいとの思惑もあったはずです。
韓国と北朝鮮とのマッチポンプ的連携の事実を直視するならば、日本にとってはGSOMIAは全く無意味であることは明らか。また、南北朝鮮のマッチポンプ的連携を黙認ないしは支援しているトランプ政権に完全依存するのは、日本にとっては非常に危険だろうと思います。憲法改正を含めた、日本単独での自力防衛体制を早急に構築することは喫緊の課題ですが、こうした恐るべき事実は一般のマスコミではほとんど報道されていないので、日本では自力防衛の必要性が国民には全く伝わらないという、超偏向報道というもう一つの恐るべき現実があります。
日本は、米国政府が黙認している、韓国と北朝鮮とのマッチポンプ的連携への対処法も自力で考えざるをえないという、かつてない困難にも直面しています。GSOMIAなどにごまかされずに、彼らの正体を直視すべき時です。
(参照:8/20日経新聞 北朝鮮、迂回輸出か 韓国制裁の船が日本に8回寄港 )
とはいえ、連日のマスコミ報道によると、日韓関係のかつてない悪化で、韓国からの観光客が激減しており、日本各地の観光地が悲鳴を上げているとのことですが、これも実体を正しく伝えたものかどうか、吟味すべきです。韓国人観光客は中国人に次いで多いのは事実ですが、【有本香の以読制毒】韓国の航空会社「日韓関係悪化で減便」のウソ 原因は文政権の失策による「ウォン安」 日本はシンガポールなど「上客」獲得の好機
にも書かれているように、日本の観光業への実質的な影響はさほど大きくはないはずです。また、軒並み大幅赤字が出ている韓国の全航空各社にとっては、減便は不可避となっていましたが、大幅赤字の事実を隠蔽して、あたかも日韓関係悪化による減便であるかのように印象操作しているわけです。日本のマスコミもその意を汲んで、日韓関係悪化による観光業への大打撃であると、過剰かつセンセーションに報道しています。
確かに訪日外国人に依存した観光業では、相手国との関係が悪化すればマイナスの影響は避けられませんが、より大きな国益を守るという観点に立てば、後々にはむしろプラスに転ずるはずです。JBPressに掲載されていた、元自衛隊幹部矢野義昭氏による以下の論評記事には、戦後の歴代政権がいかに日本の国益を毀損し、韓国側の不当かつ無茶苦茶な要求に唯々諾々と従ってきたかが具体的に書かれています。
文在寅政権で急増、大量破壊兵器転用物質流出 金額にして24倍、在韓米軍撤退も視野に風雲急な朝鮮半島 2019.8.22
領土でも名誉でも一旦奪われたり毀損されると、回復はほとんど不可能であることは、日韓の長い歴史が証明しています。
なお前号津田大介氏が映す現在では、言い足りない点が多々ありましたので、補足させていただきます。芸術家が権力者の庇護から離れて、独立して創作活動を営む以前(近代以前)の日欧の支配層は、非常に優れた審美眼、美的鑑賞力を有していたことは残された数多くの作品群が証明していると書いておりますが、これは一面的な見方でした。美術館や博物館等で目にする作品は圧倒的に日本や欧州のもの(建国が新しいアメリカは近代以降の作品のみ)でしたので、つい日欧と書いてしまいましたが、東南アジアや中東各国やアフリカ諸国にも非常に優れた美術的遺産や高度な技術を要する建造物も数多く残されており、それらの作品も各国、各地の時の権力者によって生み出されたものであることは、日欧や中国とも全く変わらないことに公開後、気がつきました。しかし途中で追記せずに、次期更新時(本号)に、補筆訂正することにいたしました。