「葦の葉ブログ2nd」より転載
余り時間を置かずに書いた方がいいと思いますので、前号 ファーウェイ副社長逮捕の衝撃 の続きを書くことにいたします。この事件の背景には、猛烈な勢いで業績を伸ばしつつある、ファーウェイに対するアメリカの危機感があることは言うまでもありませんが、それだけではないことは、逮捕に至るまでの様々な動きを見れば自ずと明らかになってきます。
まず「アメリカの危機感」という場合の「アメリカ」が、何を指しているのかということです。アメリカをも追い越しそうな中国の伸張ぶりには、アメリカ中が危機感を抱いていても不思議はありませんが、ファーウェイ副社長逮捕という過激な手段を使ってまでの反中策は、少なくともトランプ大統領の意向には反するもので、大統領とは無関係にCIA主導でなされたものであったことは明らかです。この事件以前から、トランプ大統領とCIAとの関係は良好とはいえませんでしたが、米中のトップが直接外交交渉を行っているその現場に、直接ミサイルをぶち込むかのような攻撃をしかけたCIAは、大統領をも超えた、絶対的な権力者なのかとさえ思えるほどの大胆不敵さです。
ここで問題になるのは、CIAの権力の源泉(真の支配者)は何なのかということですが、今回の事件には、様々な付随的な事件も絡まっていますので、それらも含めて検証することで、CIAの背後霊も姿を現すかもしれません。
ファーウェイ副社長逮捕事件勃発前に、いくつかの事件が短期の内に次々と発生しましたが、これらの事件は、ファーウェイ副社長逮捕により、円環を閉じるように繋がっていたことに気づかされました。それらの事件とは、サウジアラビアのムハンマド皇太子による、同国のジャーナリストのカショギ氏殺害事件、ソフトバンクの広範囲に渡る通信障害、極めつけがファーウェイ副社長逮捕です。
つまりソフトバンクに関わる事件が、短期のうちに次々と発生したわけですが、これらの事件は、19日のソフトバンク株上場を前にした時期を、狙うかのように発生しています。因みに、日本国内でファーウェイ製を使用しているのはソフトバンクだけです。
ソフトバンクの孫正義氏は、サウジのムハンマド皇太子と10兆円を超える基金を設立し、世界的に投資事業を展開、10月23日には2回目となる「未来投資イニシアティブ」の開催が予定されていましたが、その直前にカショギ氏殺害事件は起きました。
出席予定者は、「砂漠のダボス会議」との異名が付くほど、世界の財務、金融関係の錚々たるメンバーが顔を揃えています。具体的には米JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO(最高経営責任者)や米ブラックストーン・グループのスティーブン・シュワルツマン会長、ドイツ銀行幹部、スイス・ABB幹部、米ゴールドマン・サックス、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事、ムニューシン米財務長官をはじめ、仏石油大手のCEO、英防衛・軍需企業のBAEシステムズやロシア直接投資基金CEO、中国や日本の大手銀行等々です。しかし事件勃発後、これらの出席予定者は、その大半が欠席し、この投資事業に暗雲が漂うことになりました。
この衝撃的な事件発生直後は、遺体も見つからないほどの残忍な方法で殺害されたらしいとの報道もあり、ムハンマド皇太子には世界中から厳しい目が向けられ、投資事業どころか、皇太子の座から追放されても当然だとの声も挙がっていたほどです。しかし、カショギ氏が殺害されたことは事実とはいえ、不可解な点も多々、指摘されています。
1 トルコ政府によって、小出しに事件の「真相」らしきものが伝えられてはいますが、何かまるでこの事件の発生を、トルコ側が事前に把握していて、その事件の一部始終を録音ないしは録画していたような印象です。
2 トルコは殺害の情報をいかにして入手したのか。
AppleWachで録画録音していたとの情報もありましたが、専門家によれば、それは物理的に不可能だとのこと。(カショギ氏の婚約者は?殺害方法は?AppleWachの信憑性?)
トルコ政府がサウジ大使館に密かに盗聴器などを設置していた可能性もありますが、もしそうであるならば、国際法上違法行為が明白であるにもかかわらず、このトルコ政府の違法性についてはどこからも批判はおろか、疑問の声すら出ないのはなぜか。諜報活動のためには、どこの国でもこの程度の違法行為はごく一般的に行われており、カショギ氏殺害の残忍さに比べれば、トルコの違法行為は軽いと見ているからなのか。
3 カショギ氏の婚約者をめぐる謎。
アメリカに住んでいたカショギ氏がなぜトルコで婚約届けを出したのか不思議でしたが、婚約者がトルコ人だったという。(サウジはトルコに嵌められた? )婚約者はカショギ氏と一緒に在トルコサウジ大使館に行ったそうですが、であるならば、なぜ一緒に大使館に入らずに、カショギ氏だけが中に入ったのか。これは、非常に不可解きわまりない謎ですが、加えて、この事件の少し前に、カショギ氏はエジプト人女性とも結婚していたとのことで、隠し妻が証拠写真持参で名乗り出ているという。(カショギ記者「隠し妻」現る?突如名乗り出たエジプト人女性)
4 カショギ氏はもともと、サウジ政府の中枢との強い繋がりがあった。
カショギ氏本人及び親族が、それぞれの仕事でサウジ政府中枢と繋がっていたという。ところが、ムハンマド皇太子は、汚職を理由に多数の王族を政府機関から次々と追放し、独裁化を進め、他の王族との対立が激化。カショギ氏は、ムハンマド皇太子と対立している王族と親しかったという。おそらくカショギ氏の親族も同様だろうと思われます。
皇太子は、従来型の石油依存からの脱却を鮮明にしていますが、この方針転換は、従来型利権に依拠していた既得権益者の猛反発を受けたはずです。カショギ氏とムハンマド皇太子との対立も、一般的な権力者とジャーナリストの対立というよりも、サウジ国内における権力抗争が背景にあったのではないか。つまりこの事件は、発生当時、さかんに喧伝されたような、自由と人権を求めたジャーナリストと、それを弾圧した残忍非道な独裁政権という、単純な対立構図には収まらない事件だったのではないかということです。そしてこの事件でも、サウジ政府の残虐な犯罪性を認定したCIAと、その事実を認めたくないトランプ大統領との立場は、全く異なっています。
次は通信障害ですが、これはソフトバンクが使っているエリクソン(スウェーデン)製通信機器の不具合によるものでしたが、エリクソンによると、ソフトウエアの証明書の期限切れによるものとのこと。もしそうであるならば、障害は事前に予防はできたはずです。しかもソフトバンクによれば、障害が発生した通信設備は導入したばかりで、期限切れが発生するとは信じられないとのことで、エリクソンも原因究明を続けるとしています。しかし余りにも不可解ではありませんか。古いバージョンに戻すことで復旧したとのことですので、新バージョンソフトに何らかの不具合が発生したことになるわけです。(世界的な携帯電話の通信障害・・原因はエリクソンのソフトウエア証明書)
新バージョンソフトになぜ不具合が発生したのか。誰もそこまでは考えてはいないようですが、証明書の期限が意図的に書き換えられたのではないか。古いバージョンのソフトウエアで復旧できたわけですから、使用中の新バージョンソフトに悪意ある改変が加えられたと判断するのが、もっとも真相に近いのではないか。それ以外に理由は考えられるでしょうか。ソフトの書き変えには、それほど特殊な能力は必要はないはずです。このエリクソン製機器の大規模な通信障害は、情報の窃取は発生していないものの、中国製を排除しても、通信の安全は保証されないということを実例でもって証明したも同然です。
しかし読売新聞では、障害発生時には、エリクソン製機器の不具合によるものとの報道していましたが、ファーウェイ事件後のSBの通信障害報道では、エリクソンの名前は完全に消去して、接続詞などを使ってまで明確に因果関係は示してはいないものの、あたかもソフトバンクが使っている、ファーウェイ製通信設備が起こした障害であるかのような文章配置で報道していました。他社報道は確認していませんが、読売のこの報道工作は、SBを襲った通信障害の狙いを雄弁に物語っているように思います。
そしてとどめを刺すかのように発生したファーウェイ副社長逮捕。ソフトバンクはすでに4G通信でファーウェイ製を使っているそうですが、超飛躍的に性能が上がる次世代5Gでも、ファーウェイ製導入を進めていたという。ファーウェイなどの中国製の排除ではCIAもトランプ大統領も一致していますが、同盟国に向けても同様の措置を求め、安倍政権は即座に実施。SBも政府のこの方針を受け、中国製排除を表明しました。4Gでは、一部とはいえファーウェイ製を使い、5Gでも導入準備を進めていたSBにとっては、大きな痛手となったはず。因みに、SBが一部で使っているファーウェイ製の4G通信ではこれまで障害は発生していませんし、情報の窃取があったとのニュースも皆無です。しかしファーウェイ外し一色の報道には、誰も抗することはできません。
以上のように次々と想定外の事態に見舞われる中で、19日、SBは株式を上場しました。結果が芳しくないのは当然です。そうした結果を狙うかのように、不可解かつ不自然な事態が次々とSBを襲ったわけですから。
つまり一連の事件は、ファーウェイなどの中国企業を、アメリカのみならず世界中から追放することを狙っただけではなく、日本のソフトバンク潰しをも狙ったものであったということです。しかもトランプ大統領の意向とは独立した(無関係に)CIA主導によって進められたということです。
CIAが陰謀諜報機関であることは世界の常識ですが、オバマ大統領政権下でも、CIAは、唐突にウクライナ騒乱を画策しました。当然、この時もオバマ大統領も無関係、CIA単独のシナリオです。この騒乱の結果、ウクライナは混乱の極めみに追いやられただけではなく、クリミヤ半島をロシアに占領されてしまいました。
しかしこの騒乱での最大の問題(狙い)は、ウクライナに納入したばかりの韓国現代社製の高速列車が全て走行できない不良品であったという、驚愕の事実を完全に隠蔽することに成功したことです。この高速列車は、サムソンも製造に参画して製造した韓国国家製ともいうべき製品でした。それが全て使い物にならないという事実が世界中に知れ渡っていたならば、サムスン、現代という2企業のみならず、韓国そのものが回復不能なほどの大打撃を受けたはずですが、ウクライナ騒乱突発で、韓国は誰にも知られずに、その危機から逃れることができました。つまりCIAは、韓国のこの世紀の大危機を回避させるために、ウクライナ騒乱を画策したのでした。
今回のCIAの動きも、その背後に韓国救済の狙いがあったと見ても、そう検討違いではないはずです。韓国のサムスンは、部品を組み立てるだけで製品化が可能となるスマホでは、不正手法も使いながらも大成功しましたが、スマホ以外、スマホ以降の新規事業については皆無。自ら自力での新規事業の開発能力が皆無ゆえですが、5Gでは行く行くはスマホすら不要になりそう(あるいは必要度が低下しそう)だとなれば、サムスンが通信事業にも進出したいと考えたとしても当然です。事実、サムスンは日本企業を籠絡して5G通信事業進出しようと働きかけをしていますが、日本企業はサムスンなど韓国企業とは絶対に提携すべきではないと、強調したい。
サムスンの勢いが世界中で猛烈に拡大していた頃、ドイツのフォルクワーゲン(VW)はサムスンと提携しました。マスコミによって、IT大企業と喧伝されていたサムスンの実力を大誤解したVWは、走るコンピュータと呼ばれる自動車の性能向上をサムスンに託したのでしょう。しかし、その全てにサムスンが関与したものかどうかは不明ながら、結果は、燃費不正の続出という惨憺たるものでした。
サムスンはIT企業として、そして現代は自動車メーカとして自動運転に進出したいものの、自力では不可能。そこで彼らがもっとも望むのは、優秀な上に人的操作が容易な日本企業をタダ同然で入手することです。今回の一連の事件も、そうしたシナリオによって惹起されたものである可能性が非常に高い。それ以外に、合理的な説明はありえないのではないか。そういえばトヨタは、自動車及び周辺事業のIT化に向けてソフトバンクとの提携を発表し、世間を驚かせました。その驚きがまだ覚めやらぬうちの今回の一連の騒動は、トヨタにも若干ながら不安を与えたかもしれませんが、こういう工作が長続きするはずはありません。
とはいえ、日本の検察とアメリカのCIAがなぜ揃って、政権をも超えた絶対的な力を行使しつつ、韓国救済に躊躇なく動くのか。この大疑問解明については、しばし保留とさせていただきますが、同じような事例の発生を防ぐためには、韓国の実力を公の場で明らかにすることだと思います。
ただ今回の記事は、記者の殺害のみならず、イスラム過激派を支援してきたサウジ政府に対する批判や、傍若無人に振る舞ってきた中国政府に対する批判などを無限留保するものではありません。今回は、極めて不可解な一連の事件の背後を探ることに焦点を当てました。