2018-08-24「葦の葉ブログ2nd」より転載
21日の読売新聞の夕刊に、国際原子力機関(IAEA)が20日、北朝鮮が「核開発を継続、進展させている」との懸念を示す年次報告書をまとめたとのことが報道されていました。6月の米朝首脳会談は、喧伝、演出だけは華々しくなされたものの、中身の余りの乏しさには、世界中から批判の声も挙がっていましたが、部分的にせよ北の非核化に向けた動きも報道されていました。
最近では、アメリカの北朝鮮研究機関ノース38が、衛星写真から北が新たに核施設を解体していると報告していました。NHKラジオはこのノース38の報告を度々報道するのですが、ミサイル発射場を解体していると報道したり、修理していると報道したりと、状況がよく変わります。会談後もノース38の報告が何度か報道されていましたが、北が核開発を継続、進展させていることを示唆するような報告はなかったように思います。わたしが偶々聞いた範囲でのことですので断定はできませんが、むしろ北が非核化に向けて何らかの動きを見せていると思わせるような報告が続いていたように思います。
どちらが正しいのか、と改めて問ううまでもなく、その豊富なデータからしてもIAEAの報告の方がより事実に近いと思われますが、ノース38の報告は、純粋に科学的な根拠に基づくものなのかどうかとの疑念も感じています。というのは、ノース38は韓国政府から資金提供を受けているからです。いくら韓国政府といえども、通常ならば、科学的観測を基盤にしているノース38の活動に政治的に介入することはないとは思われますが、平昌五輪も終わり、南北首脳会談と米朝首脳会談の感動や興奮が覚めた今は、文政権の浮沈は、北との関係いかんにかかっているともいえる状況に置かれています。
日本では、NHKも含めた大手マスコミの大半は全く報道していませんが、目下の韓国の経済状況は非常に悪く、失業率も高止まりどころか、上昇し続けています。財閥重視の朴政権の経済政策を批判して当選した文大統領は、全く真逆の労働者重視の経済政策を導入したものの、肝心要の企業の業績悪化により、韓国経済は文政権になってさらに悪化しているという。
ごく一握りの財閥への依存、輸出依存の韓国経済ですが、ロイター通信の韓国版ラストベルト、凋落の企業城下町を襲う失業と自殺によると「海外主要市場での不振を背景に、韓国の輸出増加率は、昨年の15.8%から、今年5.3%に、そして来年には2.5%へとさらに減速することが見込まれている。」という。
おそらく文政権は、南北首脳会談、米朝首脳会談をテコに、北に世界中から支援や投資を呼び込みたいと考えていたはずです。日本には巨額の支援金を出させる。というような目論見を文、金両首脳が夢見ていたはずです。ところが、トランプ大統領が非核化に向けた費用は米国は一銭も出さず、韓国と日本と中国に任せると表明したことで、夢の一角が崩れました。中国もそう簡単に資金は出さないでしょうが、中国が資金を出した場合は、中国が事業を仕切りますので、韓国企業は自由勝手に参入することはできません。資金提供先としては最も望ましい日本も、そう簡単に出しそうもない。ここでさらに夢の二角目、三角目も崩れました。
最大の理由は、会談後も北の非核化がほとんど進んでいないからです。そこで、ノース38に北が非核化に向けた動きを始めたと思わせるような報告を発表させて、北への支援を呼び込もうとしたのではないか。しかしIAEAが、北は非核化どころか、核開発を進展させていることを明らかにしたので、韓国が期待していたような北への支援や投資の可能性はほぼなくなりました。ノース38も、IAEAの調査結果が判明して2日後、北の発射場の解体は進んでいないとの報告を発表しています。
しかしその一方、国連による北朝鮮に対する人道支援は、国連で制裁決議が出された後も続けられています。昨年12月には、過去最強の制裁決議が出されましたが、制裁の余りの厳しさから、支援物資の運搬などに支障が出ていることなどが国連の支援部門で問題視されていましたので、今回の制裁は国連の北支援にも多少は影響した模様です。しかし制裁下でも国連自らが、北支援を続けていますし、グテーレス国連事務総長も、北朝鮮への人道支援には非常に熱心です。北朝鮮もグテーレス国連事務総長に対し、制裁とは切り離して人道支援をするよう要請しています。北に親和的なトランプ大統領の指示なのか、8月7日には米国の提案で、人道支援は制裁からは除外することが国連の正式の方針として決定されていますので、国連を介した北朝鮮支援はさらに活発化しそうです。グテーレス事務総長はそのための資金の拠出を世界各国に呼びかけていますが、これほど理不尽な話はあるでしょうか。
巨額の資金を要する核開発やミサイル実験を行う資金を有する北朝鮮に、なぜ国連が人道支援しなければならないのでしょうか。のみならず、世界で最多のロールスロイス購入者は、金正恩氏だという。サントリーの社長で、政府の審議会の委員なども務める新浪剛史氏がインタビューで語っていました。新浪氏は、経営外の話題も蕩々と話しておられましたが、そのインタビュー記事を保存するのを忘れておりました。検索しても見つかりませんので、インタビューそのものをご紹介できませんが、金委員長は、手下の幹部に忠誠を誓わせるための贈り物としてロールスロイスを購入しているという。
金一族だけが贅沢三昧を続けていたのでは、何時寝首をかかれるか分かりません。少なくとも身辺に配置する幹部連にも、金一族の贅沢三昧のおこぼれに預からせる。それでなければ、あの猜疑心の強すぎる金委員長のことゆえ、夜もおちおち眠ることもできないでしょうから、十分にありうることでしょう。米朝首脳会談時にシンガポールに持ち込んだ、防弾装置付きの豪華な金委員長専用車はベンツのリムジンだったそうですが、部下にはロールスロイス。おそらく金委員長専用のロールスロイスも所有しているものと思われますが、国としての経済力からするならば、余りにも異常すぎる贅沢さです。
その一方で、金一族は、自国民の飢えは未来永劫、国連に救ってもらうことを恥とは思わず、当然だと考えています。国連も金一族の下僕のように、支援し続けてきました。「人道支援」という言葉は、いかなる疑問、批判も封じることのできる魔法の言葉ですが、「人道支援」も利権の一部と化しているのではないか。北朝鮮の場合、国連からの支援物資などは、北を強力に支援している米国のキリスト教系の団体や韓国のキリスト教団体が配分、処理に携わっていますが、支援物資のかなりに部分が換金されて、直接金体制維持に使われているのではないか。当然、それら支援団体の懐にも入ります。そうした継続的な資金の流入がなければ、民間レベルで、毎年70人にも上るアメリカ人教員を北の大学に派遣することは不可能です。教会への寄付だけでまかなえる事業ではありません。
実は日本政府もひそかに北朝鮮に対して、無償、有償両面支援をしてきたという、驚くべきレポート 日本は「北朝鮮の金づる」になってはならない があります。有償分は当然返済すべきものですが、北朝鮮は今に至るも返済していないという。これは2006年、現名古屋市長の河村たかし氏が国会議員時代に出した、質問趣意書に対する政府の答弁によって明らかになったものだそうですが、おそらく一般マスコミは報道していないのではないか。わたしは上記の安積明子氏のレポートで初めて知ったばかりで、驚いています。支援を受けても感謝をしないどころか、さらなる支援を要求し続けるのは、北朝鮮のみならず、韓国も含めた朝鮮族特有の民族特性ですが、こうした事実を報道しない日本のマスコミによって、恩知らずな彼らの民族特性は昂進しつづけるばかりです。
しかしマスコミのみならず、政治家もこの動きに関与しているらしい。日本からなされた北朝鮮への支援物資が換金されたばかりか、その一部が日本の政治家にもキャッシュバックされていたらしいことも、上記レポートに書かれています。これが事実かどうかは分かりませんが、十分にありうることだと思われます。というのは、似たようなことが韓国支援でも起こっていたからです。
父親の朴大統領時代のことです。韓国がアメリカからの支援物資を受けた際、支援を公にしないように依頼し、朴大統領の指示でその筋の有力議員に口止め料として賄賂を渡したという事件がありました。外国に頼らず、朴大統領が自力で経済復興を成し遂げたとのシナリオ作りと、支援物資の私的流用を可能にするための隠蔽工作だったと思われますが、この隠蔽事件が発覚し、連邦議会で事実解明の審議が始まりました。この中で韓国政府は、日本に対しても同様の工作をしたことも証言していますが、何と日本の政治家は、アメリカの政治家よりもはるかに簡単に賄賂を受け取ったことも証言しています。
朴政権時代の日韓国交回復時の支援のみならず、日本の韓国への支援はその後も途切れることなく続きますが、1980年代の後半、全斗煥大統領の数年に渡って続けられてきた強い支援要請を受け、中曽根内閣は韓国に対して、新たに4000億円(4000万円と誤記していました。)の資金援助と、最先端技術を無償供与するという覚え書きを交わし、支援を開始しました。実はこの時も韓国側からは、支援については公にしないようにとの要請を受け、日本政府はそれに従い隠蔽に協力することを約束しています。ただこの時は、どこからか情報の一部が漏れ、新聞等で報道されたそうですが、最先端技術の無償供与までは公にはなっていなかったはずです。
この支援の一部始終は、元駐韓国大使の小倉和夫著『秘録・日韓一兆円資金』(講談社)に書かれていますが、この支援隠蔽協力のために、中曽根総理をはじめ日本の政治家などに口止め料としての賄賂が、韓国側から渡ったかどうかは不明です。先端技術はかなりの期間、韓国に無償供与されてきたはずですが、超低金利で貸し付けた4000億円の大半は、返済されていないのではないか。この融資が始まって間もなくアジア通貨危機が発生し、日本は真っ先に債権放棄させられたのではないかと推測しています。債権放棄はおろか、日本は韓国に対して、通貨危機対応のための新たな支援まで余儀なくされていたからです。
他国から支援を受けたならば、その事実を公表し、政府は国民ともども支援国に感謝するというのが、国としてのごくまっとうなあり方だと思いますが、韓国と北朝鮮は、日本の賄賂好きの政治家の陰ながらの協力もあり、日本からの支援の事実を隠蔽しつづけてきました。アメリカでは議会で事実が明らかにされましたが、日本の国会ではおそらく永遠に、支援隠蔽賄賂の授受については論議どころか、議題にさえならないはずです。
税金を使った支援隠蔽に協力したということは、賄賂の授受の有無にかかわらず、日本の政治家や官僚の公的概念は、欧米よりも、むしろ韓国や北朝鮮に近いというべきでしょう。中国も日本からの長期に渡る莫大な支援については、国内外に公表していませんが、日本の政治家自身がこの事実を明らかにしていません。日本の政治家は中国からも隠蔽賄賂をもらったのかどうかは不明ですが、日本の政治家や官僚たちは、税金を使って外国支援などをはじめ様々な事業を実施し、自らも税金で生活をしているという自覚が決定的に不足しています。
この公僕の「公」概念の決定的な欠落が、安倍総理のみならず、与野党の政治家や、かつてとはレベルの異なる昨今の官僚の底なし腐敗の背景にあると思われます。欧米のような公概念の欠落は、日本では市民革命なしに近代化が始まったからなのか。しかし戦後の日本は、国民主権を謳った日本国憲法の下で、その歩みを進め、今日にまで至っています。似たような腐敗が、戦後誕生した国連内部でも進行しつつあるのではないか。